フランチャイズ

2026年10月26日

フランチャイズ加盟店がロイヤルティを支払わない場合の対応

本部の督促・債権回収・契約解除――未払い発覚から法的手続まで

加盟店からロイヤルティが入金されない場合、フランチャイズ本部は、未払金の請求と契約解除を同じ問題として処理しないことが重要です。最初に、契約上の支払義務と金額、弁済期、未払いの理由、計算の裏付けを確認します。その上で、督促・分割交渉・法的回収・契約継続の可否を並行して検討します。

売上歩合型で算定基礎に争いがある場合や、本部の支援不足が主張されている場合は、請求金額そのものが争点になります。一方、金額に争いがなくても資金繰りが悪化している場合は、回収可能性と対応速度が問題です。契約に無催告解除やシステム停止の条項があるからといって、あらゆる未払いに直ちに適用できるとは限りません。

1.未払い発覚時の初動――「なぜ払っていないのか」を先に分ける

未払いといっても、原因によって収集すべき証拠と最適な対応が異なります。加盟店担当者への電話一本で済ませず、経理・SV・法務の情報を突き合わせ、次のように区分します。

状況 本部が確認すること 初動の重点
入金遅延・失念 請求書到達、弁済期、入金処理、誤振込 金額を確認したうえで支払日を明示して督促
請求金額の争い 売上の定義、返品・取消、従前の精算、料金変更合意 根拠資料と再計算表の共有
売上報告の欠如・過少申告疑義 POS連携、店舗別集計、監査条項、データ改変の有無 証拠保全と報告・検証要求を先行
資金繰り悪化・支払拒絶 他の遅延、休業の兆候、保証・担保、法人代表者の回答 回収可能性・保全・契約継続リスクを並行評価

とりわけ「加盟店が赤字だから支払わない」と「計算根拠が間違っているから支払わない」は区別が必要です。前者は契約上の支払義務の履行可能性、後者は請求権の成立・範囲にかかわります。問い合わせ段階から加盟店の説明を日時・発言者・資料とともに保存します。

2.ロイヤルティの請求額を、対象月ごとに再現できるか

2-1.契約書だけでなく、実際に適用されていた条件を確認する

請求の基礎は、フランチャイズ契約書、別紙料金表、変更合意書、店舗別特約及び請求実務です。契約書に「売上高の一定割合」とある場合でも、過去に料率を変更した、特別減額を認めた、最低額を免除したといった経緯があれば、その合意内容と適用期間が問題になります。現行の請求システム上の設定が契約内容と一致しているかも検証します。

定額型なら対象月・開業月・休業期間と適用額を確認します。売上歩合型なら、契約上の「売上高」の定義を基礎に、消費税、値引き、クーポン、ポイント利用、返品・キャンセル、EC・デリバリー売上、プラットフォーム手数料などの扱いを確認します。一般の会計処理上の売上高と、契約上の算定基礎が常に一致するわけではありません。

2-2.POS・帳簿・入金情報を突合する

店舗が提出した売上報告に疑義がある場合は、POS・予約システムの取引別データ、決済会社の精算書、売上日報、会計帳簿、返品ログ等を照合します。銀行口座への入金額は、現金売上や振込手数料、入金時期のずれがあるため、それだけで店舗売上を確定できるとは限りません。データの抽出日時、対象期間、抽出条件、操作履歴も保存すると、後日の再検証が可能になります。

契約上の監査・帳簿閲覧条項がある場合は、その対象・方法・通知要件に従って報告や立入調査を求めます。個人情報や従業員情報を含む資料では、検証に必要な範囲とアクセス権限を限定します。報告がないことを理由に、本部が根拠なく売上額を推定して確定請求できるわけではありません。推定計算に関する契約条項の有無と合理性、既存データからの立証可能性を分けて検討します。

裁判例から見る算定対象と過少申告

知的財産高等裁判所令和8年5月14日判決(令和7年(ネ)第10053号)は、学習塾のフランチャイズ契約において、加盟店の映像授業・自習型講座の対価がロイヤルティ算定対象に含まれるかを検討した。裁判所は、授業等が「明光義塾」の教室で提供され、契約上の「月謝、増加授業料、講習料等」に当たることから、対象売上に含まれると判断した。また、加盟店側が従前は対象に計上していた売上げを、対象外の区分へ意図的に移したことなども認定された。

この判断は、当該契約の文言、提供サービスの実態、従前の売上計上方法等を踏まえたものであり、すべての新規サービスの売上げが当然にロイヤルティ対象になるという意味ではない。本部としては、約定の算定範囲を明確にし、過去の売上区分・計上ルールと変更履歴を保存することが重要である。

3.請求前に作成する未払台帳と証拠セット

本部は、加盟店別・店舗別・対象期間別の台帳を作成し、少なくとも①請求原因、②約定支払日、③本来請求額、④実際の請求額、⑤入金・充当額、⑥未払元本、⑦調整・異議、⑧遅延損害金の起算日を一覧化します。ロイヤルティと広告分担金、システム利用料、商品代金、違約金は、根拠条項も発生原因も異なるため、原則として別科目で整理します。

店舗が複数ある場合、店舗別の請求と契約当事者単位の請求を混同しないようにします。加盟店法人と代表者個人は別人格です。代表者が個人保証をしているか、保証の対象範囲と限度額がどうなっているかを確認する前に、代表者個人へ当然に支払を請求することはできません。

必要資料 主な確認事項・立証対象
契約書・変更覚書・店舗別別紙 義務の発生根拠、算定方法、弁済期、催告・解除、監査、通知方法
月次売上報告・POS等の原データ 売上の集計対象、計算式、返品・取消、修正履歴、欠落期間
請求書・精算明細・入金台帳 請求経緯、実入金、過不足、値引き・減額合意、未払残
督促メール・チャット・書面 未払いの認否、異議の内容、期限猶予、分割提案、到達経緯
SV報告・支援履歴・障害報告 本部の支援不足・システム障害等の反論への対応
保証契約・保証金・担保資料 請求可能な相手、保証範囲、極度額、担保・預り金の充当条件
法人登記事項・店舗稼働・財産情報 請求主体の同一性、営業実態、訴訟・執行の実効性

個人が将来発生する不特定の加盟店債務を保証する契約では、民法465条の2の個人根保証に該当するか、極度額が適切に定められているか等を確認する必要があります。保証書が存在するだけで、全期間・全費目について無制限の請求が認められるわけではありません。

4.督促・催告書では何を明示すべきか

督促の目的は「払ってください」と伝えることだけではありません。支払義務の根拠と額を特定し、相手方の異議を明らかにし、必要に応じて解除に向けた催告の履歴を残すことです。契約上の通知条項を確認したうえで、次の事項を揃えます。

  • 加盟店法人名、対象店舗、契約日及び該当する支払条項
  • 対象期間別の未払元本、計算式、支払済み・相殺主張・精算保留額の区別
  • 既に到来した弁済期、最終支払期限、振込先、明細に異議がある場合の連絡方法
  • 遅延損害金を請求する場合の利率・起算日・計算方法
  • 契約解除を検討する場合は、解除事由、履行・是正を求める内容、相当な催告期間、期限後に取り得る対応

内容証明郵便は送付文面の内容と差出しを証拠化する方法ですが、請求内容が正しいことまで証明するものではありません。契約所定の方法に加え、配達証明や電子メールの送受信記録等を組み合わせ、到達を立証できる状態にします。重要な争点がある場合は、催告書にいきなり断定的な不正・詐欺等の評価を書き込むより、客観的なデータの不一致と説明要求を記載する方が適切です。

遅延損害金は契約利率と法定利率を分けて確認する

金銭債務の不履行による損害賠償は民法419条の枠組みで検討します。遅滞の責任を負った最初の時点の法定利率を基礎とし、約定利率がこれを超える場合は原則としてその約定利率によることになります。2026年4月1日から2029年3月31日までの法定利率は年3%ですが、各債権の遅滞開始時期、合意内容、経過規定等は個別に確認します。請求額に違約金等を重ねる場合も二重取りや適用条項を精査します。

5.「本部が支援していない」「赤字なので払わない」と言われたら

加盟店の業績が悪いという事実だけで、ロイヤルティの支払義務が当然に消滅するわけではありません。売上歩合型なら算定基礎となる売上額は影響を受けますが、赤字であることと売上ゼロであることは異なります。反対に、本部の研修・SV・システム提供等が契約上の義務であり、その履行をめぐる具体的な問題がある場合は、加盟店の抗弁や反対債権の有無を検討する必要があります。

まず加盟店から、履行されなかったと主張する支援の内容、時期、通知・催告履歴、具体的な損害と算定根拠を提出してもらい、本部の契約・募集時の説明、SV訪問記録、研修ログ、問い合わせ対応、システム障害履歴と照合します。「支援不足だから今月の全額を払わない」という主張が、直ちに法的な支払拒絶や相殺を基礎づけるとは限りません。ただし本部側の債務不履行があれば、請求の成否や損害賠償・相殺の争点となり得ます。

加盟店が相殺を主張する場合は、反対債権の成立・金額・弁済期や相殺適状、意思表示、相殺禁止特約等を確認します。本部として不争の未払元本と争いのある部分を分け、紛争を長期化させずに回収できる範囲がないか検討します。支援状況を調査せずに「独立事業者だから自己責任」とだけ回答することは避けるべきです。

裁判例から見る「支援不足」の抗弁

知的財産高等裁判所令和2年6月30日判決(令和元年(ネ)第10076号)は、リハビリ型デイサービスのフランチャイズ契約において、本部の支援が不十分であるためロイヤルティを支払う義務がないとする加盟店の主張を退けた。裁判所は、契約で定められた種類の支援が実際に提供されていたこと、契約継続中に支援不足を指摘した形跡がないこと、加盟店が支援に感謝する趣旨の連絡をしていたことなどを重視した。支援不足の主張には、抽象的な評価でなく、約定義務、実際の提供状況、当時のやり取りに即した検討が必要である。

分割払い・減額交渉に応じる場合の文書化

一括払いが困難な加盟店との協議では、確定した残元本、各回の支払期日、遅延損害金、期限の利益喪失事由、違反時の対応、当初債権の放棄の有無を合意書に明記します。支払猶予が継続的な料金減額や契約条件の変更と誤解されないよう、対象期間と一時的措置であることを特定します。保証人への影響や保証契約の変更手続にも注意が必要です。

裁判例から見る減免・支払猶予合意の立証

上記知財高裁令和2年6月30日判決では、加盟店はロイヤルティの免除又は一定売上額に達するまでの猶予が合意されたとも主張した。しかし、免除を裏付ける客観的証拠がなく、猶予についても対象債務、終了条件及び終了後の支払方法等の具体的合意を認め難いとされた。裁判所は、当面の事実上の支払猶予があったにとどまると判断し、原審が未払ロイヤルティ等333万1800円から保証金返還請求権30万円を相殺した残額303万1800円の支払を認めた判断を維持した。したがって、本部が一時的に督促を控える場合も、債務の免除ではないこと、猶予の範囲・期限・再開条件、保証金の扱いを明文化すべきである。

6.任意回収が難しいときの手続――勝訴と回収は別問題

請求額と根拠が概ね固まり、任意の支払が得られない場合は、債権額、相手の反論、財産の所在、費用と緊急性から手続を選択します。書面を送れば裁判所が自動的に回収してくれるわけではなく、最終的には差し押さえる財産や第三債務者を把握することが重要です。

選択肢 適する場面と限界
協議・和解 債務を認め、分割返済が現実的な場合。債務承認と履行確保の内容を文書化。
支払督促 金銭債権について比較的簡便に申し立てられるが、相手が異議を出すと訴訟へ移行。
訴訟・裁判上の和解 金額の計算、支援不足、相殺等に実質的な争いがある場合。証拠と請求原因を整理。
仮差押え 財産散逸等による将来の強制執行の困難が懸念される場合。権利・保全必要性の疎明や担保等が必要。
強制執行 判決や執行可能な和解調書等の債務名義を取得後、預金・売掛金等を対象とする。無資産なら回収できない。

支払督促は裁判所書記官による書類審査を中心とする手続ですが、加盟店は送達後2週間以内に督促異議を申し立てることができます。異議があれば通常訴訟へ移行します。異議がない場合も、強制執行には原則として所定期間内に仮執行宣言の申立てを行う必要があるため、手続期限を管理します。

仮差押えは、本案の判決を得るまでの間に対象財産を保全する手続です。未払いがあるだけで当然に認められるものではなく、被保全権利と保全の必要性を疎明し、裁判所が定める担保を供する場合があります。金融機関口座や売掛金等を候補にする際も、回収可能性、特定に必要な情報、手続費用、取引関係への影響を検討します。

強制執行による債権回収には債務名義が必要です。加盟店が実際に預金・売掛金その他の財産を持たなければ、勝訴しても回収に結び付かない可能性があります。支払拒絶と同時に営業停止や口座残高の枯渇が見込まれる場合は、請求書の作成だけでなく、早期に財産・担保・保証を把握することが重要です。

7.未払いを理由にフランチャイズ契約を解除できるか

未払ロイヤルティの回収とフランチャイズ契約の解除は、目的も必要な判断も異なります。民法541条では、原則として相当期間を定めた履行催告と不履行が必要であり、その不履行が契約及び取引上の社会通念に照らして軽微な場合には解除できません。民法542条は、履行拒絶等の一定の場合に無催告解除を認めています。契約に別途解除条項があるときはその文言、適用条件、通知・治癒期間等も確認します。

一度の短期的な入金遅れと、複数月の長期滞納、過少申告の反復、資料提出拒否では、契約関係への影響が異なります。未払額の規模、遅延期間と回数、催告への応答、支払計画の実効性、故意性・隠蔽の有無、過去の対応の一貫性、本部側の履行状況などを記録して判断します。「1か月未払いだから必ず解除できる」「解除条項があれば裁判所は無条件に認める」とは考えないことが重要です。

裁判例から見る滞納と契約解除

東京地方裁判所平成27年12月22日判決(平成26年(ワ)第26819号)は、飲食店フランチャイズの加盟店が3か月間にわたりロイヤルティ、商品代金、システム使用料等の合計409万0608円を滞納し、本部からの再三の支払催告に応じず、具体的な資金繰りの見通しも示さなかった事案で、契約解除を有効とした。加盟店は本部の対応に問題があったために支払を停止したと主張したが、解除までの連絡では資金繰りを理由に支払延期を求めていたことなどから採用されなかった。これは滞納額、期間、催告、加盟店の説明を総合評価した判断であり、1回の未払いのみで当然に解除できるとするものではない。

加盟店のPOSアカウントを一方的に停止する、商品供給を止める、ブランド表示を直ちに撤去させる等の対応は、契約に基づく権限・通知手続・効果、営業継続への重大な影響を慎重に確認すべきです。未払い回収の圧力として、根拠が曖昧なままシステムを遮断すると、本部の債務不履行や損害賠償の反論を招くおそれがあります。取引上の地位を利用した不当な不利益の強要は、独占禁止法上も別途問題となり得ます。

契約を終了しても、終了前に発生し未払いとなっているロイヤルティが当然に消えるわけではありません。他方、終了後に将来分のロイヤルティを当然に全額請求できるわけでもありません。過去の確定未払金、遅延損害金、損害賠償額の予定又は違約金、将来利益の主張は、根拠と要件を分けて整理します。

8.未払いに対応する本部の実務フロー

本部では、回収案件を「経理だけの問題」にせず、次の工程で担当を分けると判断がぶれにくくなります。各段階の所要日数は契約・緊急性によって異なり、以下は法定の期限を示すものではありません。

  • 発覚直後:経理が入金・請求漏れを照合し、SVが営業状況と加盟店の説明を記録する。
  • 請求確定:契約・変更合意・POS等を突合し、法務担当が争点と不足資料を特定する。
  • 督促:責任者を決めて書面通知し、異議申出・分割提案への回答期限を管理する。
  • 回収方針決定:確定未払額、資力、保証・担保、仮差押えの要否を評価し、協議と法的手続を選ぶ。
  • 契約継続判断:滞納解消と別に、催告履歴・違反程度・運営への影響から解除・支援継続を検討する。
  • 終結・再発防止:入金充当、和解条件、保証請求、台帳更新、同種加盟店への運用改善を記録する。

支払期日から相当期間経過しても同じ理由の催促を繰り返す運用は、回収時期を遅らせがちです。「金額の争いがあるか」「資力に問題があるか」「契約終了を検討するか」を最初の段階で判定し、法務担当に引き継ぐ条件をあらかじめ決めておくことが有効です。

9.再発防止は、契約条項と日常データを一致させることから

未払いの度に個別対応する負担を減らすには、契約締結時の債権管理ルールを実際の請求システムに落とし込む必要があります。算定方式の設計論そのものは別の論点ですが、回収可能性の観点では、少なくとも次の統一が重要です。

  • 請求の根拠:契約・店舗別別紙・料金改定覚書の最新版を店舗単位で一元管理する。
  • データと確定:POS等の集計範囲、月次締日、訂正・異議申出期間、監査権限を明確化する。
  • 支払確認:自動引落し・請求書・会計台帳で未払残を毎月照合し、初期督促の担当と期限を固定する。
  • 信用補完:保証金・保証人・担保等を検討し、個人根保証の極度額等の有効要件を確認する。
  • エスカレーション:過少申告疑義、二度目の滞納、分割不履行、営業停止兆候などで法務・経営判断へ移す。

弊所の実務上の視点|先に「回収できる請求」に整える

本部が未払い相談を受けた段階で重要なのは、いきなり強い文言の解除通知を作ることではありません。第一に、裁判手続で説明できる金額と証拠を固める。第二に、加盟店側の反論を調べ、回収可能な部分と争いのある部分を分離する。第三に、財産・保証を調査しながら、チェーン運営を継続するか終了させるかを判断する。この三つを並走させると、解除の有効性やシステム停止の適否を争われても、未払債権について整理された請求を維持しやすくなります。

10.よくある質問

Q.加盟店が赤字でもロイヤルティを払う必要がありますか。

原則として、契約上発生したロイヤルティは、加盟店が赤字であることだけを理由に免除されません。ただし、売上歩合型で実際の売上高が減っている場合や、減免合意、契約上の支援義務違反に関する法的抗弁等がある場合は、金額や支払義務に影響する可能性があります。

Q.1か月だけの未払いでも契約解除できますか。

未払いが一度あっただけで当然に解除できるわけではありません。契約の解除条項、未払額・期間、催告や是正の機会、違反の重大性、契約継続への影響等を確認します。民法541条の催告解除では、催告期間経過時の不履行が軽微であれば解除できないことにも注意が必要です。

Q.加盟店が売上報告をしない場合、推定した金額を請求できますか。

報告義務違反とロイヤルティ債権の金額の立証は分けて考えます。契約に推計・監査・帳簿提出の条項があるか、その内容が合理的か、利用できるPOS等のデータは何かを確認する必要があります。報告がないという一事だけで本部が任意の金額を確定できるとは限りません。

11.弁護士への相談を検討すべき場面

数か月にわたる滞納、POS・帳簿の不一致、支援不足や相殺の主張、代表者保証の有効性への疑義、財産散逸のおそれ、解除・供給停止の判断が重なる場合は、早期に法的評価を行うメリットが大きい場面です。特に仮差押えや強制執行を視野に入れる場合、債権額の再現性と相手方の財産情報を、通知文の作成と同時に整理することが重要になります。

柳澤法律事務所では、フランチャイズ本部の契約・継続運営上の問題について、契約内容、支払データ、加盟店との交渉経緯を踏まえた対応方針の検討を行っています。未払いの回収と加盟店との契約関係の整理を並行して検討する場合は、契約書、請求・入金一覧、売上報告、直近の連絡履歴をご用意いただくと、争点の特定に役立ちます。

12.まとめ

フランチャイズ加盟店のロイヤルティ未払いに対しては、①契約根拠と請求額を確定する、②売上等の裏付けを保存する、③理由に応じて督促・和解・訴訟等を選ぶ、④契約解除やシステム停止を回収と切り離して検討する、という順序が重要です。金額に争いのある案件と資力に問題がある案件では、打つべき手が異なります。本部は「請求できるか」「回収できるか」「今後も契約を続けるか」を別々に判断し、手続を連動させる必要があります。

13.確認した主要一次資料・裁判例

13-1.参考裁判例

知的財産高等裁判所令和8年5月14日判決(令和7年(ネ)第10053号)

知的財産高等裁判所令和2年6月30日判決(令和元年(ネ)第10076号)

東京地方裁判所平成27年12月22日判決(平成26年(ワ)第26819号)

14.更新・監修

法令・ガイドライン・裁判例確認基準日:2026年10月26日

監修:弁護士

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