フランチャイズ

2026年8月25日

ロイヤルティ設計の種類とリスク:算定方式・変更・紛争予防の実務

「何%にするか」より先に、分母・控除項目・データ・変更手続を設計する

フランチャイズ契約におけるロイヤルティは、商標・ブランドの継続利用、ノウハウ提供、経営指導、システム利用その他の本部機能に対して加盟者が継続的に支払う金銭として設計されるのが一般的です。ただし、実務上の争点は「何%か」よりも、「何にその率を掛けるのか」「どの取引を売上に含めるのか」「計算結果をどのデータで確認するのか」に集中します。

フランチャイズ契約全体の法的構造、事前開示、本部の指導・統制に関する基本ルールは親記事02-01で扱っています。本稿ではその説明を繰り返さず、ロイヤルティ条項を本部側で設計・運用する際の固有論点に絞ります。

結論

ロイヤルティ設計は「料率」だけでは完成しません 本部側で先に決めるべきなのは、①何を対価とするか、②何を算定基礎にするか、③値引き・返品・ポイント等をどう処理するか、④どのデータで確定し、誰が検証できるか、⑤契約期間中に条件変更が必要になったときの手続です。料率だけを契約書に書き、運用を後から決める設計が最も紛争を生みやすいといえます。

1.まず決めるべきは「ロイヤルティで何の対価を回収するか」

ロイヤルティを決める際、本部の収益目標から逆算して料率だけを置くと、加盟者への説明と本部側のコスト構造が分離しやすくなります。先に、本部が継続的に提供する価値と費用を棚卸しし、そのうち何をロイヤルティで回収するのかを決める方が、契約・開示・運用を一貫させやすくなります。

  • ブランド・商標・営業システムを継続利用させることの対価
  • SV訪問、運営相談、教育研修、マニュアル更新等の継続支援の対価
  • 共通システム、予約・受発注・顧客管理等のインフラ提供に関する費用
  • 商品開発、品質管理、共同施策などチェーン全体の維持・改善に要する費用
  • 本部利益として確保すべき部分

広告分担金、システム利用料、研修費、更新料、指定商品・原材料の差益などをロイヤルティと別建てにすることもあります。この場合は「ロイヤルティ率だけを低く見せる」発想ではなく、加盟者が継続的に負担する金銭を一覧化し、それぞれの目的・算定方法・支払時期を説明できる状態にすることが重要です。

2.代表的な算定方式と、契約で詰めるべきポイント

方式 基本式 向いている場面 主なリスク 契約上の重点
売上歩合型 対象売上高 × 率 売上と本部収入を連動させたい場合 売上高の定義、値引き・返品・手数料の扱いで争いやすい 対象売上、控除項目、計上時点、税の扱い
定額型 月額固定額 売上把握を簡素化したい場合、単価・売上幅が比較的安定する場合 低売上時にも同額負担。店舗規模差が大きいと不公平感が出やすい 休業月、開業・閉店月、減免、改定条件
粗利連動型 算定上の粗利益 × 率 商品原価との連動を重視する業態 「売上原価」の定義、廃棄・棚卸差異・仕入値引き等が複雑 粗利益・原価・廃棄ロス・棚卸差異の定義
ハイブリッド型 定額+歩合、最低額+歩合等 本部の固定費回収と成果連動を両立したい場合 仕組みが複雑になり、加盟者が実質負担を把握しにくい 計算順序、最低額、上限・段階料率、例示計算

公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインは、加盟者募集時に、ロイヤルティの「額、算定方法、徴収の時期、徴収の方法」を開示することが望ましい事項として明示しています。したがって、契約書上の料率だけでなく、実際に月次請求額が再現できるレベルまで算定方法を明確にしておくことが基本です。

3.売上歩合型では「売上高」の定義が最重要

売上歩合型は単純に見えますが、対象売上の定義が曖昧だと、店舗数が増えるほど例外処理が積み重なります。契約締結前に、少なくとも次の取引を使ってテスト計算を行うべきです。

論点 設計例 確認すべきこと
消費税 税抜売上を基準とする/税込売上を基準とする 契約書とPOS設定が一致しているか
値引き・クーポン 値引後売上を基準とする/本部負担分を加算する等 誰が値引原資を負担するか
ポイント 利用時の値引額を控除するか、発行時に処理するか 自社ポイント・外部ポイントを区別するか
返品・取消・返金 返金確定月で控除する等 売上計上月と返金月が異なる場合の処理
デリバリー・予約サイト 消費者支払総額/プラットフォーム控除後入金額 プラットフォーム手数料を誰が負担するか
EC・モバイル注文 店舗帰属売上に含める/本部売上と区分する 商圏・受注店舗・決済主体との整合
商品券・ギフトカード 販売時/利用時のいずれで売上認識するか POS・会計処理との整合

弊所の実務上の視点

条文より先に「5件のテスト取引」を流す ロイヤルティ条項を作るときは、通常販売、クーポン利用、返品、デリバリー、月跨ぎ返金など具体的な5〜10件の取引を仮定し、契約文だけで請求額を一意に計算できるかを確認します。ここで答えが分かれるなら、加盟店が増えた後にも同じ争点が生じます。

4.粗利連動型では「売上原価」と廃棄・棚卸差異を分けて定義する

粗利連動型では、粗利益の定義がロイヤルティ額を直接左右します。一般会計上の用語をそのまま使えば足りるとは限りません。フランチャイズ契約上の算定式として、どの原価を控除し、どの損失を加盟者側に残すのかを明示する必要があります。

  • 販売済商品の仕入原価のみを売上原価とするのか
  • 廃棄商品の原価、棚卸減耗、盗難・紛失等をどのように扱うか
  • 仕入割戻し、リベート、原材料値引きが原価にどう反映されるか
  • 本部指定価格の改定や仕入条件変更が粗利益にどう影響するか
  • 棚卸確定前の暫定計算と後日の精算をどう行うか

公取委ガイドラインは、廃棄ロス原価がロイヤルティ算定上の売上原価に算入されない方式では、算入される場合よりロイヤルティ額が高くなることを具体的に指摘しています。重要なのは、その算定方式自体を直ちに違法と評価することではなく、加盟者が負担する経済構造と本部の運営上の制限を併せて見ることです。

平成21年6月22日のセブン-イレブン・ジャパンに対する排除措置命令でも、廃棄された商品の原価相当額を加盟者が負担する仕組みの下で、加盟者の見切り販売を取りやめさせ、廃棄原価負担を軽減する機会を失わせた行為が問題とされました。ロイヤルティ設計では、算定式だけでなく、発注・値引き・廃棄など加盟者の損益を左右する運用ルールとの組合せを確認する必要があります。

5.加盟募集時は「率」ではなく、実際の計算方法まで開示する

中小小売商業振興法11条の対象となる特定連鎖化事業では、契約締結前の書面交付・説明が必要です。中小企業庁の現行案内でも、加盟金・ロイヤルティの計算方法など金銭に関する事項は、主な事前開示項目として整理されています。対象外の業種であっても、公取委ガイドラインは全業種のフランチャイズを念頭に、ロイヤルティの額・算定方法・徴収時期・徴収方法の開示を求める方向を示しています。

特に注意したいのが、他社比較です。公取委ガイドラインは、実質的な徴収額が同水準であるのに、算定方式の違いを説明せず、自社のロイヤルティ率だけが低いことを強調するような表示を問題例として挙げています。加盟開発資料では、料率を単独で見せるのではなく、分母・最低額・別途費用まで含めた負担構造が分かるようにする方が安全です。

開示資料と契約書で一致させる項目

ロイヤルティ率/対象売上・粗利益の定義/控除項目/最低額・段階料率/支払日/決済方法/広告分担金・システム料等の別途負担/開業月・休業月・閉店月の処理/算定ルール変更条項。加盟募集資料、開示書面、契約書、請求システムの4つが同じロジックで動く状態を目標にします。

6.請求・精算の仕組みまで契約で設計する

ロイヤルティ紛争は、算定式が合っていても「元データが違う」「修正の期限がない」「誰が最終値を確定するか分からない」といった運用面から発生します。月次運用は、次の順序を契約とマニュアルで固定すると管理しやすくなります。

売上等の基礎データをPOS・予約システム・会計データ等から確定する。

締日までに返品・取消・値引きその他の調整項目を反映する。

算定式に基づいて本部が請求額を計算し、加盟者に明細を提示する。

加盟者が一定期間内に異議を申し出られるようにする。

後日判明した誤差の修正方法と、翌月精算・返金等の処理を定める。

本部が加盟者の口座から自動引落しを行う場合でも、請求根拠が見えない状態にはしないことが重要です。少なくとも、対象期間、対象売上、控除項目、適用料率、調整額が追える明細を残す運用が望まれます。

7.売上監査権は「何でも見られる権利」にしない

売上歩合型や粗利連動型では、加盟者の過少申告を防ぐため、本部に帳簿・POS・請求書等を確認する監査権を設けることがあります。監査条項は必要性が高い一方、範囲が広すぎると運用負荷や情報管理リスクを高めます。

監査条項の項目 設計ポイント
対象資料 POS売上、会計帳簿、注文・予約データ、請求書等、ロイヤルティ検証に必要な資料へ限定
通知 通常監査は事前通知、重大な不正疑義がある場合の例外を設定
実施方法 現地確認、電子データ提出、外部専門家利用の可否を定める
費用 通常監査は本部負担、一定以上の過少申告が判明した場合のみ加盟者負担など客観基準を設定
保存期間 ロイヤルティ計算を再現できる期間を、会計・税務上の保存義務も踏まえて設定
是正 追加請求、過払い返金、遅延損害金、重大・反復の場合の契約上の措置を区分

監査で取得するデータに顧客情報や従業員情報が含まれる場合は、ロイヤルティ検証に不要な情報まで取得しないよう、対象データとアクセス権限を切り分けることも重要です。

8.契約期間中のロイヤルティ変更は、変更条項だけで終わらせない

原材料価格、システム費、人件費、本部支援内容などが変化し、長期契約の途中でロイヤルティ体系を見直したくなることがあります。しかし、「本部は必要に応じてロイヤルティを変更できる」とだけ定める条項は、加盟者の予測可能性を損ねます。

公取委ガイドラインは、取引上優越した地位にある本部が、フランチャイズ・システム運営に必要な限度を超えて、正常な商慣習に照らして不当に加盟者に不利益となるよう取引条件を設定・変更する場合、優越的地位の濫用となり得るとしています。また、契約にない新規事業の導入によって加盟者に過大な費用負担を生じさせながら、不利益な取扱いを示唆して導入を余儀なくさせる行為も例示されています。

そのため、変更条項では少なくとも次の要素を検討します。

  • 変更できる対象(料率、最低額、算定基礎、システム料等)を区分する
  • 変更の理由・基準をできるだけ客観化する
  • 事前通知期間を設定し、加盟者が影響を確認できる時間を確保する
  • 既存契約と新規加盟契約で適用時期を分ける必要がないか検討する
  • 重大な負担増となる場合の協議、経過措置、更新時反映等を検討する
  • 変更後の収益構造が加盟募集時の説明と大きく異なる場合、説明資料も更新する

8-1.裁判例:ロイヤルティ変更に必要な手続を欠いた追加徴収が問題となった事例

東京地方裁判所平成30年3月22日判決(平成28年(ワ)第37912号)は、幼児向け英会話教室のフランチャイズ契約について、本部による追加費用の徴収やロイヤルティ変更等が争われた事案です。契約では、加盟店が売上高の25%をロイヤルティとして支払い、その中に会計業務代行費用が含まれる一方、ロイヤルティを変更する場合には本部と加盟店が協議し、書面で変更する旨が定められていました。

本部は、その後、引落手数料、生徒損害保険料、月謝請求入力手数料として、売上高に連動する追徴金を加盟店に通知し、書面による合意を取り交わさないまま徴収しました。裁判所は、契約上ロイヤルティに会計業務代行費用が含まれていたことなどから、この追徴金は実質的にロイヤルティの一部であると評価し、書面合意を欠いた徴収を契約違反と判断しました。

また、当初25%であったロイヤルティ率について、本部が平成24年7月以降、継続して20%で請求・精算していた点も争われました。本部は後に「誤って20%で計算していた」として差額を請求しましたが、裁判所は、収支表、長期間の請求実績、当事者のやり取り等を踏まえ、20%への変更合意が成立していたと認定しています。

この裁判例から重要なのは、費用の名称ではなく実質を見る必要があることと、変更手続を実際の運用まで一致させる必要があることです。契約でロイヤルティ変更に協議・書面合意を要求している場合、同じ機能の対価を「追徴金」「手数料」など別名で追加しても、実質的にロイヤルティ変更と評価される可能性があります。また、料率を変更した場合には、請求システムだけを変更するのではなく、覚書等で変更内容・適用開始日・算定方法を明文化しておくべきです。

本部側の実務ポイント

  • 契約上、ロイヤルティと個別費用の変更手続を分け、どの費目にどの手続が適用されるかを明確にする
  • 既存ロイヤルティに含まれる機能と重複する追加費用を新設する場合は、名称ではなく実質で変更手続の要否を確認する
  • 料率の増減を合意した場合は、口頭運用や請求システムだけで済ませず、変更合意書・適用日・対象店舗を記録する
  • 過去分をまとめて追加請求する場合は、契約上の根拠、請求対象、計算根拠、従前の請求実務との整合性を確認する

変更設計のポイント

「変更できる」と書くことと、「どの変更でも安全に実行できる」ことは別です。契約上の根拠、変更理由、加盟者への影響、通知・協議手続をセットで設計し、実施時にも個別事情を確認します。

9.ロイヤルティ以外の継続負担を「見えないロイヤルティ」にしない

本部の収益はロイヤルティだけで構成されるとは限りません。広告分担金、システム利用料、決済手数料、研修費、物流費、指定商品・原材料の差益、更新料等が加わる場合があります。これらの費用がすべて不適切という意味ではありませんが、加盟者から見た実質負担を把握できるよう整理する必要があります。

特に、ロイヤルティを「売上3%」と強調しながら、必須のシステム料・広告費・指定仕入差益等を別の資料に分散させると、加盟判断に必要な負担構造が見えにくくなります。本部側では、継続的な支払項目を一つの負担一覧にまとめ、契約書・開示書面・加盟募集資料で名称と金額体系を統一する運用が有効です。

9-1.裁判例:契約に表れない仕入差額・仕入割戻金と説明義務

東京地方裁判所平成23年12月16日判決(平成21年(ワ)第6195号)は、スーパーマーケットのフランチャイズにおいて、本部が仕入先からの仕入価格と加盟店への売値との差額や、仕入先からの仕入割戻金を取得していたことが争われた事案です。加盟店は本部に所定のチャージを支払っていましたが、契約書には、ストアブランド商品を除く一般商品について、本部が加盟店への売主となって転売利益や仕入割戻金を取得する構造が明確には記載されていませんでした。

裁判所は、実際の商流としては仕入先から本部、本部から加盟店という二段階の売買が行われていたと認定しました。しかし、契約書には口頭契約を排除する条項があり、商品の仕入れについては「仕入先推薦」や「代行決済」といった記載が中心で、本部が売主となって別途利益を取得することが契約上予定されていたとは解釈できないとしました。

その上で裁判所は、フランチャイズ契約が継続的契約であり、加盟店の事業運営が本部の契約・指導によって一定程度制約されることなどから、当事者間には高度の信頼関係が必要であると指摘しました。そして、本部が契約上明示されたチャージ以外に契約関係から利益を取得する場合には、そのことを加盟店に説明し、承諾を得る信義則上の義務を負うとして、一般商品に係る支払差額・仕入割戻金を説明・承諾なく取得したことについて債務不履行を認めました。

もっとも、ストアブランド商品については、本部がメーカーから買い取って加盟店へ販売する商品であることを加盟店側も認識していたため、その差額利益まで個別の説明・承諾が必要とはされていません。この限定からも、本部が仕入差益やリベートを得ること自体が直ちに問題なのではなく、契約書・開示資料・実際の商流から、加盟店がどのような収益構造を合理的に認識できる状態になっていたかが重要であると分かります。

9-2.二つの裁判例から見る「見える負担」と「見えない収益」の設計

ロイヤルティ設計では、加盟者から本部への直接の支払だけでなく、指定仕入、リベート、決済、システム、広告、研修などを通じて本部が得る経済的利益も含め、契約全体の収益構造を整理する必要があります。すべての利益を同じ方法で開示する必要があるという意味ではありませんが、加盟者が「何を負担し、本部がどこから収益を得るのか」を合理的に把握できるようにしておくことが紛争予防につながります。

  • ロイヤルティに含まれる機能と、別途徴収する費用の対価関係を一覧化する
  • 指定仕入で本部が売主となるのか、単なる仕入先紹介・決済代行なのかを契約書上明確にする
  • 仕入差益、リベート、物流収益等を本部収益とする場合、その仕組みが加盟者に理解できる契約・開示構造になっているか確認する
  • 契約書、法定開示書面、加盟募集資料、請求・精算実務の説明を一致させる

10.本部が導入前に行うロイヤルティ設計テスト

チェック 確認事項
経済性 標準店だけでなく低売上・高売上・高原価の複数ケースで、本部と加盟者双方の収支を試算したか
定義 売上、粗利益、原価、控除項目を契約文だけで再現できるか
例外取引 値引き、ポイント、返品、デリバリー、EC、休業月を処理できるか
開示 加盟募集資料・法定開示書面・契約書の料率と計算例が一致しているか
データ POS等の元データから請求明細まで追跡できるか
監査 過少申告を検証する権限と手順が契約化されているか
変更 料率・最低額・別途費用の変更手続が具体化されているか
紛争時 異議申立期間、修正・返金・追加請求の処理が決まっているか

11.ロイヤルティ条項の実務チェックリスト

  • ロイヤルティの対価として本部が継続提供する機能が整理されている
  • 算定方式と料率だけでなく、算定基礎となる用語を定義している
  • 消費税、値引き、クーポン、ポイント、返品、取消の扱いが決まっている
  • デリバリー、EC、モバイル注文等の新チャネルの売上帰属が決まっている
  • 粗利型では廃棄・棚卸差異・仕入値引き等の扱いが決まっている
  • 最低ロイヤルティ、段階料率、上限等がある場合の計算順序が明確である
  • 開業月・休業月・閉店月の扱いが明確である
  • 請求明細、異議申立、誤差修正の手続がある
  • 監査対象・監査方法・費用負担が明確である
  • ロイヤルティ以外の必須費用を一覧で把握できる
  • 加盟募集資料・開示書面・契約書・請求システムの内容が一致している
  • 変更条項が抽象的な「本部裁量」だけになっていない
  • 加盟者への負担増を伴う制度変更について通知・協議・経過措置を検討している
  • 料率の他社比較をする場合、算定方式や別途負担の違いも説明している
  • ロイヤルティ変更について協議・書面合意等を定めている場合、その手続が実際の請求運用でも守られている
  • 追加手数料・追徴金が既存ロイヤルティの対価と重複しないか確認している
  • 料率の増減や特例適用を行った場合、合意内容と適用開始日を文書で保存している
  • 指定仕入の差益、仕入割戻金、リベート等を本部収益とする場合、その収益構造を契約・開示資料で適切に説明している

12.よくある質問

Q1.ロイヤルティ率に法律上の上限はありますか?

フランチャイズ一般について一律の法定上限率が定められているわけではありません。ただし、事前開示、契約内容、算定方法、加盟者への負担の与え方、本部の取引上の地位や契約後の変更方法などによっては、独占禁止法その他の問題が生じ得ます。料率だけで適法性を判断することはできません。

Q2.売上歩合型なら「月間売上×○%」だけで十分ですか?

十分ではありません。売上の定義、税、値引き、返品、ポイント、プラットフォーム手数料、EC売上等を明確にしないと、同じ売上取引でも計算結果が分かれる可能性があります。

Q3.最低ロイヤルティを設けることはできますか?

契約上設けること自体は考えられます。ただし、加盟者が低売上時に負担する額や、歩合部分との計算順序を分かりやすく開示し、事業モデルとの整合を確認する必要があります。

Q4.契約に変更条項があれば、本部はいつでも料率を変えられますか?

変更条項があるだけで、あらゆる変更が当然に許容されるわけではありません。条項の文言、変更理由、加盟者への影響、通知・協議の有無、本部と加盟者の取引関係などを踏まえて判断する必要があります。

Q5.加盟者の売上を本部が監査できるようにした方がよいですか?

売上歩合型等では監査権を設ける実務上の必要性があります。ただし、対象資料、通知、実施方法、費用負担、データの取扱いを契約で限定し、ロイヤルティ検証に必要な範囲で運用することが重要です。

Q6.広告分担金やシステム料をロイヤルティとは別にすれば開示しなくてよいですか?

名称を分ければ加盟者の負担として重要でなくなるわけではありません。加盟判断に影響する継続費用は、目的・金額・算定方法・徴収時期が分かるよう整理し、契約・開示資料を一致させることが重要です。

Q7.他社よりロイヤルティ率が低いことを広告で強調できますか?

比較自体が直ちに禁止されるわけではありませんが、算定方式や別途費用が異なるのに率だけを比較すると、実質的な負担について誤認を招くおそれがあります。公取委ガイドラインも、このような比較方法を問題例として挙げています。

Q8.ロイヤルティとは別に「システム料」「追徴金」を新設すれば、ロイヤルティ変更手続は不要ですか?

名称を変えれば当然に別費用として扱われるわけではありません。既存ロイヤルティに含まれている機能の対価を、売上高連動の追加費用として徴収するなど、実質的にロイヤルティの変更と評価され得る場合があります。契約上の費用区分と変更手続を確認し、必要な協議・書面合意を経ることが重要です。

Q9.本部が仕入先からリベートや仕入差益を得る場合、必ず加盟者に全額開示しなければなりませんか?

一律に「すべてのリベートを全額開示しなければならない」と整理することはできません。契約上の商流、本部が売主となることの明確性、ロイヤルティ以外の本部収益について加盟者がどのように認識できる設計かなどによって評価が異なります。もっとも、本部が契約上明示された対価以外に継続的な利益を得る仕組みは、加盟募集時の開示・契約条項・実際の精算方法を一致させ、加盟者に不測の負担感を生じさせないように設計するのが安全です。

13.まとめ|ロイヤルティは「料率」ではなく仕組みで設計する

ロイヤルティは、本部と加盟者の利害が毎月交差する条項です。売上歩合型、定額型、粗利連動型、ハイブリッド型のどれを選ぶか以上に、算定基礎、例外取引、データ、精算、監査、変更手続を一つの仕組みとして設計することが重要です。

本部側では、ロイヤルティ条項だけを単独で作るのではなく、加盟募集資料、開示書面、POS・会計システム、広告分担金や指定仕入等の他の金銭負担まで横断して確認することで、加盟後の「聞いていた負担と違う」「計算が合わない」「途中で条件を変えられた」といった紛争を減らすことができます。

確認した主要一次資料・参考裁判例

参考裁判例

  • 東京地方裁判所平成30年3月22日判決(平成28年(ワ)第37912号)
  • 東京地方裁判所平成23年12月16日判決(平成21年(ワ)第6195号)

最終確認日:2026年8月25日