自社に合う料金体系を「月額」だけでなく契約範囲から見極める
顧問弁護士を検討する際、「毎月一定額を支払う定額制と、利用時間に応じて支払う時間制のどちらがよいか」は重要な検討事項です。
ただし、定額制と時間制は、法律で内容が決まった契約類型ではありません。同じ「月額顧問」でも、月額内で対応できる業務、時間数、相談回数、契約書の作成・修正、交渉、緊急対応などの範囲は法律事務所ごとに異なります。時間制についても、何を稼働時間として計上するか、最低計上単位、月額上限の有無などによって、実際の使い勝手は大きく変わります。
東京弁護士会も、弁護士報酬は依頼者との間で自由に定めることができる一方、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期その他必要な事項を明示した各弁護士の報酬基準が前提になると案内しています。したがって、「定額か時間制か」だけではなく、具体的な契約条件まで比較することが重要です。
本稿では、企業が顧問契約を選ぶ際に、定額制と時間制をどのような観点から比較すべきか、ハイブリッド型も含めて実務的に整理します。
1.この記事が対象とする企業・担当者・場面
この記事は、次のような企業・担当者を主な対象としています。
- □ 初めて顧問弁護士との契約を検討している
- □ 現在の月額顧問料が自社の利用実態に合っているか見直したい
- □ タイムチャージ制を提案されたが、予算管理に不安がある
- □ 月ごとの相談件数や業務量の変動が大きい
- □ 社内法務担当者と外部弁護士の役割分担を見直している
- □ 契約書レビューは多いが、訴訟・M&Aなど大型案件は少ない
- □ 新規事業や資金調達など、一時的に法務稼働が増える予定がある
- □ 複数の法律事務所の顧問プランを比較している
顧問弁護士が企業に必要か、顧問契約そのものにどのような価値があるかではなく、本稿では「料金体系をどう設計・比較するか」に焦点を当てます。
2.定額制と時間制は「顧問契約」と「スポット契約」の違いではない
2-1.定額制とは
本稿でいう定額制とは、一定期間ごとに固定額を支払い、その範囲であらかじめ定めた法律事務の提供を受ける方式を指します。
典型的には、日常的な法律相談、契約書レビュー、簡易な書面作成等を月額内に含め、一定時間又は一定件数を超えた場合や、大型案件について別料金とする設計が考えられます。
重要なのは、「定額制=何でも無制限」ではないことです。月額内の業務範囲や上限は契約によって定める必要があります。
2-2.時間制とは
時間制(タイムチャージ)は、弁護士が案件対応に要した時間に、あらかじめ定めた時間単価を乗じて報酬を算定する方式です。
時間制はスポット案件だけに使われるものではありません。継続的な顧問関係を維持しながら、実際の稼働時間に応じて毎月精算する契約も設計できます。
逆に、スポット案件でも、案件単位の固定報酬とすることがあります。そのため、「顧問契約=定額」「スポット契約=時間制」と単純に分けるのは正確ではありません。
3.定額制と時間制の基本比較
| 比較項目 | 定額制 | 時間制 |
|---|---|---|
| 基本的な考え方 | 一定期間ごとの固定額 | 実稼働時間×時間単価 |
| 主な利点 | 早期相談しやすい設計にできる | 利用分だけ支払いやすい |
| 予算管理 | 月次で予測しやすい | 単価・稼働量で変動 |
| 向きやすい状況 | 継続的な相談がある | 相談量が少ない・不定期 |
| 透明性のポイント | 業務範囲の確認が重要 | 稼働内容の確認がしやすい |
| 費用変動 | 比較的高い | 上限管理が必要 |
| 繁忙月の扱い | 利用量に応じて変動 | 繁忙月は超過しやすい |
どちらか一方が常に優れているわけではありません。比較の中心は、料金そのものよりも、会社の法務需要が「継続的か」「予測できるか」「相談を早期に出す必要があるか」「業務量の変動が大きいか」という点です。
4.定額制のメリットと注意点
4-1.毎月の予算を把握しやすい
定額制の大きな利点は、月額内の業務について予算をあらかじめ把握しやすいことです。法務費用を月次予算に組み込みたい企業や、一定量の契約レビュー・相談が継続する企業では、費用管理がしやすくなります。
ただし、月額以外の費用が発生しないという意味ではありません。訴訟、交渉代理、M&A、調査案件、大量の契約書作成などを別料金とする契約もあります。定額部分と個別見積り部分の境界を確認する必要があります。
4-2.相談のたびに費用を計算しなくてよい設計にできる
日常相談が月額内に含まれていれば、「この程度の質問で弁護士に連絡してよいか」と毎回費用を気にせず相談しやすくなります。
企業法務では、問題が大きくなった後より、契約条件や対応方針を変更できる段階で相談した方が選択肢を多く残せることがあります。その意味で、相談の心理的・事務的なハードルを下げる料金設計には実務上の意味があります。
もっとも、定額制でも対応時間や件数に上限がある場合は、その運用を社内で把握しておく必要があります。
4-3.利用が少ない月でも固定費は発生する
相談がほとんどない月でも固定額が発生することは、定額制の特徴です。そのため、法務需要が極めて少なく、年間を通じても数件しか相談がない企業では、時間制やスポット契約の方が支出総額を抑えやすい場合があります。
一方で、「今月何時間使ったか」だけで定額制の価値を判断するのも適切とは限りません。相談できる状態を継続して確保すること、会社の事業や過去の相談経緯を弁護士が理解していることなども、顧問関係の評価要素になります。
5.時間制のメリットと注意点
5-1.実際の稼働量と報酬を対応させやすい
時間制では、原則として実際の稼働時間を基準に報酬が計算されるため、法務需要が少ない企業や、必要なときだけ外部弁護士を利用したい企業では合理的な設計になり得ます。
また、大型案件で作業内容を事前に完全には見通しにくい場合でも、担当者別の時間単価と稼働時間を基準に費用を把握できます。
5-2.「1時間いくら」だけでは比較できない
時間制を比較する際は、時間単価だけを見るのでは不十分です。例えば、次の事項によって請求額は変わります。
- □ メール・チャットの確認時間を計上するか
- □ 電話・オンライン会議を計上するか
- □ 法令・判例調査の時間を計上するか
- □ 契約書の作成・修正時間を計上するか
- □ 移動時間を計上するか
- □ 複数の弁護士が参加した場合に各人の時間を計上するか
- □ 最低計上単位を何分とするか
- □ 弁護士ごとに時間単価が異なるか
- □ 月次で稼働明細を共有するか
同じ時間単価でも、計上ルールが違えば年間費用は大きく異なり得ます。
5-3.予算超過を防ぐ仕組みを契約・運用で作る
時間制の最大の実務課題は、案件が複雑化した場合に費用が事前予測を超える可能性があることです。
この点は、時間制そのものの欠点というより、上限管理の設計によって大きく変わります。例えば、「一定額を超えそうな場合は事前連絡をする」「一定時間を超える作業は承認を得てから行う」「毎月の上限額を設定する」「大型案件は別途見積りに切り替える」といった方法があります。
5-4.時間制では算定ルールを契約書で明確にする
時間制では、時間単価だけでなく、対象業務、精算方法、実費の扱い、第三者による費用補償との関係、中途解約時の処理まで契約上整理しておくことが重要です。実際に、タイムチャージの算定方法が報酬紛争の判断の中心となった裁判例があります。
東京地方裁判所令和元年10月3日判決(平成31年(ワ)第6303号)では、交通事故の損害賠償請求を受任した弁護士の報酬について、委任契約書に、示談交渉、第一審及び控訴審の訴訟追行、書類作成を業務内容とし、法的手続をとる場合の報酬は「時間給3万円×業務従事時間」で算定し、毎月精算することなどが定められていました。
依頼者は、弁護士費用補償特約の限度額300万円を超える部分について自己負担する合意はなかったなどと争いました。しかし裁判所は、委任契約は保険特約とは独立した契約であり、委任契約には報酬の算出方法が定められ、保険特約との関係について別段の定めがないことから、限度額を超えるかどうかにかかわらず、その算出方法による報酬を支払うことが当事者の合意内容であると判断しました。
また、裁判所は、証拠により弁護士の業務従事時間を29.83時間と認定し、消費税込みの時間給3万2400円を乗じた96万6492円を未払報酬として認めています。一方、交通費については、実際に支出したことを認める証拠がないとして請求を認めませんでした。
この判決は、時間制が定額制より優れていることを示すものではありません。むしろ、時間制では、時間単価だけでなく、どの業務について時間制を適用するか、いつ精算するか、実費や保険等の第三者負担との関係をどうするかを契約書で明確にしておくことが、後日の認識違いを避けるうえで重要であることを示す一例といえます。
6.実務ではハイブリッド型も検討できる
定額制と時間制を二者択一にする必要はありません。会社の法務需要に応じて、両者を組み合わせる方法があります。
| 方式 | 設計例 | 主な狙い |
|---|---|---|
| 定額+上限 | 一定時間まで月額 | 通常月の予算を安定化 |
| 定額+超過時間制 | 定額+超過タイムチャージ | 繁忙月にも対応しやすい |
| 定額+案件別固定 | 日常顧問+個別見積り | 日常と大型案件を切り分けやすい |
| 時間制+月額上限 | 時間制+上限管理 | 大型案件の予算管理に向く |
例えば、日常相談と一定量の契約レビューは月額内とし、超過分を時間制にする方法であれば、予算の予測可能性を確保しつつ、繁忙月にも対応できます。
反対に、通常は時間制としながら、一定額を超える前に事前承認を必須とする方法もあります。重要なのは、会社と法律事務所の双方が「どこから追加費用になるか」を同じように理解していることです。
7.比較するときは「月額」と「時間単価」ではなく契約範囲をそろえる
法律事務所Aは月額制、法律事務所Bは時間制という場合、単純な金額比較はできません。まず、何が報酬に含まれているかをそろえて比較する必要があります。
7-1.定額制で確認したい事項
- □ 月額内に含まれる相談者の範囲
- □ 電話、メール、チャット、オンライン会議等の相談方法
- □ 法律相談の時間又は件数の上限
- □ 契約書レビューの範囲
- □ 契約書の新規作成が含まれるか
- □ 取引先との直接交渉が含まれるか
- □ 社内会議への参加が含まれるか
- □ 超過した場合の時間単価又は追加料金
- □ 未使用時間・未使用枠の繰越しの有無
- □ 訴訟・労働審判・M&A等の個別案件の扱い
- □ グループ会社や役員個人の相談が対象になるか
- □ 実費・出張費等の扱い
7-2.時間制で確認したい事項
- □ 弁護士ごとの時間単価
- □ 最低計上単位
- □ メール・電話・会議・調査・移動等の計上範囲
- □ 複数名で対応する場合の計算方法
- □ 月次の稼働明細の内容
- □ 見積りを求められる業務の範囲
- □ 一定額を超える場合の事前承認ルール
- □ 月額・案件単位の上限設定が可能か
- □ 実費等が別途発生するか
- □ 緊急対応時に別単価があるか
8.料金体系を選ぶ前に、過去の法務需要を棚卸しする
自社に合う方式を選ぶには、将来の相談量を感覚で予想するより、まず直近の法務需要を振り返る方が有効です。
例えば、過去の契約レビュー件数、労務相談、新規事業相談、クレーム対応、株主・役員関係の相談、社内会議への参加などを一覧にし、それぞれにどの程度の外部弁護士対応が必要だったかを確認します。
そのうえで、次の3パターンを想定します。
①通常月:平常時に発生する相談量
②繁忙月:契約締結や新規事業が集中する月
③大型案件月:紛争、資金調達、M&A等が発生する月
定額制は通常月の需要をどこまでカバーできるか、時間制は繁忙月に費用がどこまで増えるか、ハイブリッド型ならどの範囲で超過するかを比較します。
9.会社の状況別に考える料金体系
| 会社の状況 | 検討しやすい方式 | 考え方 |
|---|---|---|
| 通常相談+時々大型案件 | 定額又はハイブリッド | 個別見積り併用 |
| 相談が少ない・不定期 | 時間制 | 時間制・スポットも選択肢 |
| 継続相談が多い | 定額制 | 定額制が検討しやすい |
| 月ごとの変動が大きい | ハイブリッド | 定額+超過時間制 |
| 大型案件が中心 | 時間制 | 時間制+上限管理 |
| 早期相談を重視 | 定額又はハイブリッド | ハイブリッドも検討 |
この整理は絶対的な基準ではありません。例えば、社内法務担当者がいる会社でも、外部弁護士への相談が毎週発生するのであれば定額制が合理的な場合があります。逆に、法務部門がなくても、相談が年に数件しかない場合には時間制・スポット対応が合うこともあります。
10.社内法務担当者がいる場合の考え方
「法務部がある会社は時間制、法務部がない会社は定額制」と決めることはできません。
社内法務がある企業では、日常の一次判断や契約レビューを社内で行い、専門性が高い案件や重要案件だけを外部弁護士へ依頼することがあります。この場合、時間制や案件単位の固定報酬が使いやすいことがあります。
一方で、社内法務の相談先として外部弁護士を継続的に利用し、判断のレビュー、難しい交渉、経営案件への助言などが毎月発生するのであれば、定額制やハイブリッド型が機能することもあります。
重要なのは「法務部があるか」ではなく、外部弁護士にどの役割を求めるかです。
11.相談を抑制しない料金設計になっているか
料金体系を選ぶ際には、年間費用だけでなく、社内の相談行動にどのような影響を与えるかも確認した方がよいでしょう。
時間制では、担当者が「費用がかかるので、もう少し社内で考えてから相談しよう」と判断し、結果的に相談が遅れることがあります。これを防ぐには、「どの種類の案件はすぐ相談するか」「一定時間までは担当者判断で相談してよいか」といった社内ルールを作る方法があります。
定額制でも、担当者が月額内の時間枠を消費することを気にして相談を控えれば、同じ問題が生じます。逆に、相談件数を増やすこと自体を目的にすると、重要度の低い案件まで外部弁護士へ依頼し、社内の法務判断が育たない可能性もあります。
料金体系の目的は「たくさん使うこと」ではなく、必要な案件を必要なタイミングで相談できる状態を作ることです。
12.契約時に曖昧にしない方がよい12項目
定額制・時間制のいずれでも、少なくとも次の項目は契約前に確認しておくことが重要です。
- □ ①業務範囲:何を顧問業務として扱うか
- □ ②相談者:代表者だけか、役員・従業員も直接相談できるか
- □ ③対象会社:契約会社だけか、子会社・関連会社も含むか
- □ ④連絡方法:メール、電話、チャット、オンライン会議等
- □ ⑤対応時間:定額内の上限又は時間制の計上方法
- □ ⑥追加料金:超過時・大型案件時の料金
- □ ⑦見積り:個別案件で事前見積りを行う条件
- □ ⑧予算管理:上限額・事前承認・アラートの方法
- □ ⑨実費:交通費、印紙、外部専門家費用等
- □ ⑩契約期間:自動更新の有無を含む
- □ ⑪終了時:解約手続、進行案件、未精算費用、資料引継ぎ
- □ ⑫見直し:業務量が変わった場合の料金体系変更方法
東京弁護士会の案内では、弁護士報酬は自由に定められる一方、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期等を明確にすることが前提とされています。また、弁護士職務基本規程は、事件受任時の報酬・費用の説明や委任契約書について定めています。顧問契約等には委任契約書作成の例外規定もありますが、企業側の予算管理という観点からは、顧問業務の範囲と算定ルールをできる限り書面化しておく方が実務上安全です。
13.料金体系を見直すタイミング
顧問契約は、一度選んだ方式を固定し続ける必要はありません。業務量や会社の体制が変われば、契約内容を見直すことが考えられます。
例えば、次のような変化は見直しのきっかけになります。
- □ 契約書レビュー件数が大きく増減した
- □ 社内法務担当者を採用した
- □ 新規事業が増え、事前相談が多くなった
- □ 毎月の定額枠を継続して大幅に超えている
- □ 時間制の費用が毎月ほぼ一定になっている
- □ 大型案件が終了し、通常の相談量に戻った
- □ グループ会社が増え、相談対象会社が変わった
- □ 現在の顧問業務と実際の依頼内容がずれてきた
見直す際には、単に料金を下げる・上げるのではなく、どの業務を定額内に残し、どの業務を個別案件へ切り分けるかを再設計するとよいでしょう。
なお、顧問契約の法的性質は契約内容によって異なります。法律事務の委任・準委任に当たる部分について民法の委任に関する規定が問題となることがありますが、実際の解約条件、通知期間、精算方法等は契約書を確認する必要があります。
14.よくある4つの比較ミス
14-1.定額制なら無制限に相談できると思う
定額制でも、時間・件数・業務範囲に制限を設けることがあります。「月額だから全部含まれる」と考えず、個別案件の扱いを確認してください。
14-2.時間単価だけで安い方を選ぶ
時間単価が低くても、最低計上単位、複数弁護士の関与、調査範囲、移動時間等によって総額は変わります。実際の利用方法を前提に比較する必要があります。
14-3.定額枠を使い切ることを目標にする
未使用時間を「損」と捉え、不要な相談を増やしても費用対効果が高まるとは限りません。重要なのは、必要な法務対応が適時に行われているかです。
14-4.大型案件まで同じ料金体系で処理しようとする
日常顧問と訴訟・M&A・大規模調査では、必要な作業量や専門性が大きく異なります。通常業務と大型案件を分けて設計する方が、双方にとって費用を把握しやすくなることがあります。
15.弊所の実務上の視点:最適な料金体系は「相談すべき案件が相談される仕組み」かで判断する
定額制と時間制を比較するとき、月額や時間単価だけで判断すると、本来の目的を見失いやすくなります。
企業にとって重要なのは、法務費用を最小化することだけではなく、必要な案件を適切な時点で弁護士へ相談し、経営判断や事業運営に反映できることです。
弊所では、料金体系を検討する際、現在の相談件数だけでなく、「今後どのような法務課題が発生しそうか」「誰が相談するのか」「どこまで社内で判断できるか」「相談が遅れている案件はないか」を確認することが重要だと考えています。
毎月一定量の相談がある会社でも、すべてを定額内に入れる必要はありません。反対に、相談件数が少なくても、経営判断の前段階で気軽に相談できる状態を重視するのであれば、一定の定額枠を持つ意味があります。
最適なのは、定額制か時間制かという名称ではなく、自社の相談行動と法務需要に合った契約設計です。
16.契約前チェックリスト
- □ 定額制と時間制のどちらが自社の相談量に合うか検討した
- □ 過去の法務相談を通常月・繁忙月・大型案件に分けた
- □ 月額内に含まれる業務を確認した
- □ 契約書レビューと新規作成の扱いを確認した
- □ 交渉代理が顧問範囲に入るか確認した
- □ 訴訟・労働審判・M&A等の料金を確認した
- □ 定額制の時間・件数上限を確認した
- □ 超過時の料金を確認した
- □ 未使用枠の繰越しの有無を確認した
- □ 時間制の時間単価を担当者別に確認した
- □ 最低計上単位を確認した
- □ メール・電話・調査・移動等の計上方法を確認した
- □ 複数弁護士が対応した場合の計算方法を確認した
- □ 稼働明細がどの程度示されるか確認した
- □ 事前見積りや予算上限を設定できるか確認した
- □ 上限を超える前の連絡ルールを確認した
- □ グループ会社・役員個人の相談範囲を確認した
- □ 実費・消費税等の扱いを確認した
- □ 契約期間・更新・解約手続を確認した
- □ 利用状況に応じて料金体系を見直せるか確認した
17.FAQ
Q1.定額制と時間制のどちらが一般的ですか?
一律にはいえません。法律事務所の料金設計や企業側の利用方法によって異なります。契約名称ではなく、実際の業務範囲と算定方法を確認してください。
Q2.弁護士の顧問料には公的な相場や統一料金がありますか?
統一された公的な報酬基準はありません。東京弁護士会も、弁護士は依頼者との間で報酬を自由に定めることができると案内しています。具体的な料金は各法律事務所の報酬基準・契約条件を確認する必要があります。
Q3.定額制なら相談回数は無制限ですか?
必ずしもそうではありません。時間数、件数、業務内容等に上限を設ける契約があります。契約書で確認してください。
Q4.定額制で使わなかった時間は翌月へ繰り越せますか?
契約によります。繰越しを認める契約も、認めない契約も設計できます。未使用枠の扱いを事前に確認してください。
Q5.時間制ではメールを1通送るだけでも料金が発生しますか?
計上方法は契約によります。メール作成・確認を稼働時間に含めるか、最低計上単位をどうするかを確認してください。
Q6.電話やオンライン会議もタイムチャージに含まれますか?
契約によります。会議時間だけでなく、事前準備や事後整理を計上する場合もあるため、算定ルールを確認してください。
Q7.法令や判例を調査する時間も請求対象になりますか?
時間制では調査時間を稼働として扱う契約があります。どの作業を計上対象とするかを契約時に確認してください。
Q8.時間制でも事前に見積りを出してもらえますか?
案件の性質によりますが、想定時間や予算上限を相談できる場合があります。事前に作業範囲を特定しにくい案件では、一定段階で見積りを更新する方法も考えられます。
Q9.時間制に月額上限を設けることはできますか?
法律事務所との合意によります。一定額を超える作業には事前承認を必要とするなど、予算管理の仕組みを設けることが考えられます。
Q10.定額制でも追加料金が発生しますか?
契約内容によっては発生します。定額の対象外業務、上限超過、大型案件等について別料金とする設計があります。
Q11.訴訟や労働審判は月額顧問料に含まれますか?
一律ではありません。顧問契約の範囲に含める場合も、別途委任契約・見積りとする場合もあるため、契約前に確認してください。
Q12.M&Aや資金調達も月額内で対応してもらえますか?
契約内容によります。通常の顧問業務とは作業量・専門性が異なるため、個別見積りの対象とする契約もあります。
Q13.社内法務担当者がいる会社は時間制の方がよいですか?
必ずしもそうではありません。外部弁護士へ依頼する業務量と役割によります。専門案件だけなら時間制、継続的なレビュー・経営相談まで求めるなら定額制やハイブリッド型も検討できます。
Q14.小規模企業は定額制の方がよいですか?
企業規模だけでは決まりません。相談頻度、事業上のリスク、社内で判断できる範囲、今後の法務需要を見て判断します。
Q15.定額制と時間制を組み合わせることはできますか?
法律事務所が対応していれば可能です。一定時間まで定額、超過分を時間制にするなどの設計が考えられます。
Q16.途中で料金体系を変更できますか?
相手方となる法律事務所との合意や現在の契約内容によります。業務量が変わった場合には、更新時等に契約範囲・料金体系を見直すことが考えられます。
Q17.顧問契約はいつでも解約できますか?
一律にはいえません。顧問契約の法的性質や契約条項によります。委任・準委任に当たる部分については民法上の解除規定が関係することがありますが、通知期間、費用精算、進行案件の引継ぎ等を契約書で確認する必要があります。
Q18.複数の弁護士で時間単価が異なることはありますか?
そのような料金設計は可能です。担当弁護士ごとに単価が異なる場合は、誰がどの業務を担当するかも含めて確認すると費用を予測しやすくなります。
Q19.時間制の方が必ず安くなりますか?
必ずしもそうではありません。利用時間が多ければ総額が増えますし、定額制でも業務範囲が広ければ費用対効果が高くなることがあります。想定する年間利用量で比較する必要があります。
Q20.契約前に最も確認すべきことは何ですか?
料金額だけでなく、業務範囲、時間・件数上限、追加料金、時間計上ルール、大型案件の扱い、見積り・予算管理、契約終了時の扱いを確認することが重要です。
18.弁護士への相談を検討した方がよい場面
次のような場合は、顧問契約の料金体系を含めて具体的に相談することが考えられます。
- □ 初めて外部顧問弁護士を導入する
- □ 法律事務所ごとの料金体系が違い比較できない
- □ 毎月の法務費用が予算を大きく上下する
- □ 定額顧問を契約しているが利用実態と合っていない
- □ 時間制で費用を気にして相談が遅れることがある
- □ 法務相談が急増し、現在の顧問枠を継続的に超過している
- □ 社内法務担当者を採用し、外部弁護士の役割を見直したい
- □ 新規事業、資金調達、M&A等で一時的に稼働が増える予定がある
- □ グループ会社の相談を含めるか整理したい
- □ 顧問契約の更新・解約・料金改定を検討している
19.まとめ
定額制は、一定の法務需要が継続し、毎月の予算を安定させたい企業や、早期相談をしやすい体制を作りたい企業に適しやすい方式です。一方、時間制は、法務需要が少ない又は変動が大きく、実際の稼働量に応じて費用を管理したい企業に適しやすい方式です。
ただし、実際には「定額制か時間制か」という二択だけではありません。定額+超過タイムチャージ、日常顧問+大型案件別見積り、時間制+月額上限など、複数の設計があります。
最も重要なのは、月額や時間単価の安さではなく、自社の法務需要に合った業務範囲と料金算定ルールが設定され、必要な相談を必要な時点で出せることです。契約前には、料金だけでなく、対象業務、上限、追加費用、時間計上、予算管理、契約終了時の取扱いまで確認してください。
20.主要な裁判例・一次資料・公式情報
- 東京地方裁判所令和元年10月3日判決(平成31年(ワ)第6303号)
- 東京弁護士会「弁護士費用について」
- 法務省掲載「弁護士職務基本規程」
- e-Gov法令検索「民法」(第648条、第651条、第656条)