広告やLPで「No.1」「満足度90%」「今だけ半額」「初回無料」「必ず改善」などの強い訴求を行うとき、問題になるのが景品表示法です。景品表示法は、単に虚偽の文言だけを禁止する法律ではありません。広告全体から一般消費者が受ける印象と、実際の商品・サービスや取引条件との間に著しい差がある場合には、不当表示として問題となり得ます。
また、2023年10月からはステルスマーケティングが景品表示法上の不当表示として規制され、2024年10月には確約手続、課徴金制度の見直し、故意の優良誤認・有利誤認に対する直罰などを含む改正法が施行されています。広告主側では、コピーの文言だけでなく、根拠資料、価格設定、注記の見せ方、第三者投稿、社内承認まで一体で管理する必要があります。
先に結論
広告・LPの景表法チェックでは、①何を訴求しているか、②一般消費者が広告全体からどのような印象を受けるか、③その印象を裏付ける事実・資料が掲載前に存在するか、④価格・条件・注記・第三者投稿まで含めて表示が整合しているか、の順で確認します。「注記を書いた」「調査会社から証明書をもらった」「制作会社に任せた」だけでは十分ではありません。
1.景品表示法は広告の「一文」ではなく全体の印象を見る
景品表示法第5条は、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引について行う不当な表示を禁止しています。対象となる表示は、紙の広告や店頭表示に限られず、ウェブサイト、LP、ECの商品ページ、SNS投稿、動画、メール、比較表、レビュー表示など、消費者の商品選択に影響する表示を広く含みます。
実務で重要なのは、文言を切り分けて「この一文だけなら事実である」と確認するだけでは足りないことです。見出し、画像、グラフ、価格、注記、ボタン周辺の説明などを一体として見たときに、一般消費者がどのような商品・サービスだと理解するかを確認します。LPのファーストビューで強い訴求を行い、その例外条件をページ下部の小さな文字だけに置く設計では、注記自体は存在していても誤認を解消できないことがあります。
裁判例:広告の意味は「表示全体」から判断される
糖質カット炊飯器の広告に対する措置命令の取消しが争われた事案で、東京高裁令和8年6月10日判決(令和7年(行コ)第263号)は、原審・東京地裁令和7年7月25日判決の結論を維持しました。原審は、表示の意味内容は、特定の文言・図表・写真だけを切り取って判断するのではなく、一般消費者が表示内容全体から受ける印象・認識を基準に判断すべきとしています。
この事案では、「美味しさそのまま」「糖質(最大)45%カット」等の文言、商品の構造・調理工程、写真や周辺説明などを踏まえ、広告が「通常炊飯と同じ炊き上がりのまま糖質を45%カットできる」とまで表示したものではないと判断されました。重要なのは、裁判所が「糖質45%カット」という数値表示自体の適法性を一般的に認めたのではなく、行政庁が広告の意味内容を広く捉えすぎた点を問題にしたことです。
実務では、見出しやキャッチコピーだけでなく、画像、グラフ、注記、商品説明、CTA周辺の条件表示まで含めて、ページ全体から何が伝わるかを確認する必要があります。逆に、広告に書かれていない具体的な性能まで当然に表示したものとみなすのではなく、まず広告が実際にどのような意味を伝えているのかを特定することが出発点です。
故意でなくても不当表示は成立し得る
優良誤認表示・有利誤認表示は、「だますつもりがあったか」だけで決まるものではありません。消費者庁も、誤って表示してしまった場合であっても、表示が要件に該当すれば景品表示法上の規制対象となると説明しています。そのため、制作会社のミスや古いLPの更新漏れも、広告主側の問題になり得ます。
2.不当表示の中心は3つに分けて理解する
| 類型 | 問題となる表示 | 広告・LPの典型例 |
|---|---|---|
| 優良誤認表示(第5条1号) | 商品・サービスの品質、規格、効果、性能などを実際より著しく優良に見せる表示 | 根拠のない効果保証、事実と異なる性能表示、根拠の不十分なNo.1・高評価%表示 |
| 有利誤認表示(第5条2号) | 価格その他の取引条件を実際より著しく有利に見せる表示 | 実態のない通常価格との二重価格、「無料」「半額」の条件を目立たせない表示 |
| 指定告示による不当表示(第5条3号) | 内閣総理大臣が指定した表示 | ステルスマーケティング、おとり広告、一定の原産国表示等 |
広告審査では、まず表示が「商品・サービスの内容」を強く見せるものなのか、「価格・取引条件」を有利に見せるものなのかを切り分けると整理しやすくなります。ステルスマーケティングのように、広告であること自体が分かりにくい表示は、別途、第5条第3号に基づく指定告示を確認します。
3.優良誤認――効果・性能をうたうなら掲載前に根拠を確保する
優良誤認では、商品の品質・規格・効果・性能等が、実際より著しく優良であると一般消費者に誤認される表示が問題になります。「絶対」「必ず」といった断定表現だけが危険なのではありません。数値、比較、写真、グラフ、体験談などによって、実際の根拠が支える範囲を超えた印象を与える場合も注意が必要です。
不実証広告規制は「根拠を後から探す」運用を危険にする
効果・性能表示について優良誤認の疑いがある場合、消費者庁長官等は、景品表示法第7条第2項に基づき、表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求めることができます。提出期限は、文書により提出を求めた日から原則15日以内です。期間内に合理的な根拠資料を提出できない場合、措置命令との関係では当該表示が優良誤認表示とみなされ、課徴金納付命令との関係では第8条第3項により優良誤認表示と推定されます。
合理的な根拠と認められるには、少なくとも、①資料が客観的に実証された内容であること、②表示された効果・性能と実証された内容が適切に対応していること、の2点が必要です。広告公開後に試験を始めればよいという考え方ではなく、原則として表示を行う時点で、その訴求に対応する根拠を確認しておくべきです。
根拠資料のチェックポイント
試験対象、対象者、使用条件、期間、測定方法、比較対象、サンプル数などが、広告で一般消費者に伝わる効果・性能と対応しているかを確認します。商品Aの試験結果で商品Bを訴求したり、限定された条件の結果を一般条件でも同じように実現するかのように表示したりすると、資料が存在していても十分な根拠にならないことがあります。
裁判例:根拠資料は「あるか」ではなく表示内容と対応するか
目の見え方の改善をうたう商品の広告について課徴金納付命令が争われた東京高裁令和6年7月31日判決(令和6年(行コ)第44号、原審・東京地裁令和6年1月30日判決)は、表示を裏付ける合理的根拠資料が認められないとして事業者側の請求を退けました。
原審では、少人数の購入者の体験談、リピート率、配合成分一般に関する研究資料、実際の商品とは摂取量等の条件が異なる試験、対照群のない前後比較試験、設問・選択肢に誘導性があるアンケートなどが検討されました。裁判所は、資料が存在するだけでは足りず、広告で一般消費者に伝えている具体的な効果・性能を客観的に実証し、その内容が表示と適切に対応していることが必要であるとの考え方に沿って判断しています。
また、媒体社等による広告審査や外部機関への相談を経ていたことについても、それだけで表示の根拠となる情報の存在・内容を十分確認したことにはならないとされました。したがって、広告主側では「第三者の審査を通ったか」ではなく、「自社が訴求している効果を、どの資料のどの結果が裏付けるのか」を掲載前に確認する必要があります。
4.体験談・口コミは「実際の声」でも安全とは限らない
利用者の体験談を掲載するときは、「本当にその人が体験した内容か」だけではなく、その体験談が広告全体としてどのような効果を一般化して伝えているかを確認します。消費者庁は、商品購入者から任意に寄せられた体験談について、効果があった人ほど投稿しやすいなどの偏りがあるため、それだけでは効果・性能を客観的に実証する資料とは認められないと整理しています。
LPに成功事例を多数掲載し、一般的・典型的な結果であるかのような印象を与える場合には、個々の体験談が真実であっても、広告全体としての根拠が別途必要になることがあります。また、「個人の感想です」「効果には個人差があります」といった打消し表示を付ければ、強い効果訴求が当然に適法になるわけではありません。
5.No.1・高評価%表示は「第三者調査だから大丈夫」ではない
「顧客満足度No.1」「おすすめしたいサービス第1位」「医師の90%が推奨」などの表示は、LPで使われることが多い一方、調査設計と広告表現がずれると景品表示法上の問題が生じます。消費者庁は2024年9月にNo.1表示に関する実態調査報告書を公表し、広告主自身が調査内容と表示内容の対応を確認する必要があることを明確にしています。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 比較対象 | 市場の主要な同種商品・サービスを適切に含めているか。検索結果の上位だけを機械的に比較対象にしていないか。 |
| 調査対象者 | 表示内容に対応する利用者・属性を選んでいるか。自社顧客だけ、社員・関係者だけの調査になっていないか。 |
| 調査方法 | 自社に有利な回答を誘導していないか。1位になるまで調査を繰り返すなど結論ありきの設計になっていないか。 |
| 表示との対応 | 実利用者に聞いていないイメージ調査なのに「顧客満足度No.1」と表示するなど、調査結果を超えた表現になっていないか。 |
| 広告主による確認 | 調査会社の証明書だけで済ませず、質問票、対象者、比較対象、集計方法等を広告主自身が確認しているか。 |
第三者の調査会社に依頼していても、景品表示法上の責任が当然に調査会社へ移るわけではありません。「他社も使っている」「調査会社が適法と言った」という理由だけで広告主が調査内容を確認しない運用は避けるべきです。
6.有利誤認――「半額」「無料」「今だけ」は条件まで一体で見る
有利誤認表示は、価格その他の取引条件について、実際より著しく有利であると一般消費者に誤認される表示です。セールやキャンペーンでは、「値引きの事実」だけではなく、比較対象価格、適用条件、期間、対象者、追加費用などを一体で確認します。
二重価格表示
「通常価格10,000円→5,000円」といった二重価格表示では、比較対照価格である「通常価格」が実態のある価格かが重要です。販売実績のない価格や、実際にはほとんど販売していない価格を基準に大幅割引であるかのように見せると、有利誤認となるおそれがあります。メーカー希望小売価格を比較対照価格にする場合も、メーカーが実際に公表している価格であるか等を確認します。
裁判例:EC上の「参考価格」でも実態がなければ有利誤認になり得る
ECサイト上の二重価格表示について争われた東京高裁令和2年12月3日判決(令和元年(行コ)第330号、原審・東京地裁令和元年11月15日判決)は、措置命令を適法として事業者側の請求を退けました。
原審では、①メーカーが社内の商品管理上便宜的に定め、一部の問い合わせに個別に示していたにすぎない価格を「参考価格」とした例、②本来の希望小売価格より高い金額を誤入力した例、③6本セットの参考価格がシステム上の過誤で単品商品の参考価格として表示された例について、いずれも販売価格が安いとの誤認を与える不当な二重価格表示に当たると判断されました。
この判例からも、比較対照価格は単に社内データとして存在すればよいわけではなく、その名称が示す実態に合っているかを確認する必要があります。ECでは、商品マスターやSKU統合、外部出品者から取り込む価格情報、自動表示ロジックの誤りでも不適切な二重価格が生じ得るため、広告文言だけでなくシステム・データ面の管理も必要です。
「初回無料」「0円」「○%OFF」
無料・割引の条件として、定期購入、複数回購入、別料金のオプション、送料、入会金等が付く場合には、その条件を消費者が理解できる形で示す必要があります。「初回0円」を大きく表示し、実際には一定回数の継続購入が必要であることを目立たせない設計は、特定商取引法上の定期購入表示とともに景品表示法上の有利誤認も検討すべき場面です。
期間限定・残数表示
「本日まで」「残り3名」「期間限定」等の表示は、購入判断を急がせる効果が大きいため、実際の運用と一致している必要があります。期間終了後も同じ条件で販売を続けたり、残数表示が実際の在庫・枠数と連動していなかったりする場合には、表示の適否を慎重に確認します。
7.打消し表示は「書いてあるか」ではなく「誤認を解消できるか」
広告で強調表示を行い、その例外や制約条件を注記で補う場合、その注記が一般消費者に認識され、強調表示から受ける誤認を実際に解消できることが重要です。小さな文字で「※条件あり」と記載するだけでは十分とは限りません。
| 確認要素 | 実務上の確認 |
|---|---|
| 位置・近接性 | 強調表示と注記が離れすぎていないか。重要条件をスクロール後や別ページだけに置いていないか。 |
| 文字・視認性 | 文字サイズ、色、背景とのコントラストが十分か。スマートフォンでも読めるか。 |
| 内容 | 「条件あり」だけでなく、何が例外・制約なのか具体的に理解できるか。 |
| 動画・動的広告 | 表示時間が短すぎないか。音声と画面の強調表示に対し、注記を認識する時間があるか。 |
| 全体の印象 | 注記を読んだとしても、強調表示そのものが過大な印象を形成していないか。 |
重要条件ほど、打消し表示に「逃がす」のではなく、強調表示と同じ視線上で明示する設計が安全です。とくに料金、継続条件、対象者、効果が得られる条件など、購入判断に直結する事項は、注記の大きさだけでなく、広告全体の構成として認識できるかを確認します。
8.ステルスマーケティング――広告であることが分からない投稿も不当表示
2023年10月1日から、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が景品表示法第5条第3号に基づく不当表示として指定されています。典型例は、広告主がインフルエンサー等に投稿を依頼し、その投稿が広告・宣伝であることを一般消費者が判別できない場合です。
規制対象となるのは、原則として表示内容の決定に関与した広告主です。インフルエンサーやアフィリエイターに制作を委託していても、広告主が景品表示法上の責任を当然に免れるわけではありません。
「PR」と書けば常に足りるわけではない
広告であることの表示は、投稿全体から一般消費者が明瞭に認識できる必要があります。「PR」「広告」等の表示自体は有用ですが、大量のハッシュタグの中に埋める、本文から大きく離れた位置に置く、動画の一瞬だけ表示するなど、広告性が判別しにくい方法は避けます。商品提供を受けたことを明示するなど、文脈上広告であることが明確になる方法も考えられます。
なお、ステルスマーケティング告示違反そのものは、景品表示法第8条の課徴金対象行為には含まれません。ただし、同じ投稿が優良誤認表示又は有利誤認表示にも該当する場合には、そちらの違反について課徴金の問題が生じ得ます。
9.広告代理店・制作会社に任せても広告主の確認は残る
広告制作や運用を外注する場合、契約書に「法令遵守は制作会社の責任」と書くだけで、広告主の景品表示法上の責任がなくなるものではありません。表示内容の決定に広告主が関与している場合には、外部委託先が作成した広告であっても広告主の表示として問題となり得ます。
同じ東京高裁令和2年12月3日判決では、サイト上で運営者自身が販売者と表示され、参考価格等の表示を停止・変更する権限を有していたことなどから、サイト運営者自身が表示をした事業者と判断されました。もっとも、これはECサイト運営者が常に表示主体になるという意味ではありません。誰が商品・サービスを供給し、消費者から誰の表示と認識され、誰が最終的に表示を承認・変更・停止できるのかを具体的に確認する必要があります。
実務では、外注先との役割分担を明確にした上で、広告主側にも最終承認の仕組みを残します。とくにNo.1表示、効果・性能表示、価格表示、インフルエンサー投稿については、根拠資料を誰が取得・確認・保存するか、公開後に誰がモニタリングするか、問題が見つかったときに誰が何時間以内に停止・修正するかまで決めておくことが有効です。
10.2024年改正後は行政処分だけでなく直罰にも注意する
令和5年改正景品表示法は、2024年10月1日に施行されました。企業側では、「不当表示があったら措置命令だけ」と考えるのではなく、課徴金、確約手続、直罰を含めた現在の制度を把握しておく必要があります。
| 制度 | 概要 | 広告実務への意味 |
|---|---|---|
| 措置命令 | 誤認の排除、再発防止、今後同様の違反を行わないこと等を命じる行政処分 | 広告停止・訂正だけで終わらず、公示や再発防止対応が必要になる。 |
| 課徴金 | 優良誤認・有利誤認が対象。原則として対象商品・役務の売上額の3%。一定の再違反では4.5%。 | 「3%が上限」という制度ではなく、法定の算定方法により算出される。一定の免除・規模基準等もある。 |
| 確約手続 | 違反被疑行為について是正措置計画を申請し、認定を受けた場合に措置命令・課徴金納付命令の適用を受けない制度 | 問題発覚後の自主是正を制度的に評価する枠組み。ただし、認定を当然に受けられるものではない。 |
| 直罰 | 故意に優良誤認・有利誤認表示を行う行為について100万円以下の罰金。両罰規定あり。 | 根拠がないと認識しながら強い表示を出す運用は、行政処分だけでなく刑事罰の射程にも入る。 |
課徴金は、対象表示を知らず、かつ知らないことについて相当の注意を怠っていないと認められる場合や、算定された課徴金額が150万円未満となる場合には納付命令を受けないとされています。他方、2024年改正後は、課徴金の算定の基礎となる売上額を把握できない場合の推計規定や、過去10年以内に課徴金納付命令を受けた事業者について課徴金を1.5倍とする規定が設けられています。
11.景品表示法第22条は広告管理の「体制」も求めている
景品表示法では、不当表示を行わないことだけでなく、事業者に表示等を適正に管理するための必要な措置を講じることも求めています。消費者庁の管理措置指針では、事業者の規模・業態等に応じて、景品表示法の考え方の周知・啓発、法令遵守方針の明確化、表示根拠の確認・共有、管理担当者の設定、根拠資料の保存、問題発覚時の迅速な対応などを行うことが示されています。
したがって、広告公開の直前に法務担当者が文言だけをチェックする運用よりも、企画段階から根拠資料を紐付け、公開後の変更も管理できる仕組みを作る方が実務的です。広告担当者、制作会社、営業部門、CS部門が別々の情報を使っていると、LPの表示と実際の提供条件がずれやすくなります。
12.広告・LP公開前の実務フロー
| 段階 | 確認事項 |
|---|---|
| ① 訴求の特定 | 消費者に何を最も強く伝える広告なのかを1~3点に絞り、品質・効果か、価格・条件か、広告性かを分類する。 |
| ② 根拠の確認 | 訴求ごとに、試験、調査、販売実績、価格資料、契約条件等の根拠を確認し、広告文と対応させる。 |
| ③ 全体印象の確認 | 見出し、画像、グラフ、注記、CTAを一体で見て、一般消費者が受ける印象が実態を超えていないか確認する。 |
| ④ 媒体・画面の確認 | PCだけでなくスマートフォン表示、動画の表示時間、SNS投稿、広告から遷移するLPまで実画面で確認する。 |
| ⑤ 外注・第三者投稿の確認 | 代理店、アフィリエイター、インフルエンサー等の制作・投稿ルールと広告主の承認権限を確認する。 |
| ⑥ 証拠保存 | 公開した広告、LP、根拠資料、承認ログ、キャンペーン条件、修正履歴を同じ案件単位で保存する。 |
| ⑦ 公開後の監視 | 価格・在庫・キャンペーン条件の変更、第三者投稿の改変、古い広告の残存を定期的に確認する。 |
13.広告・LPのチェックリスト
- 効果・性能表示について、掲載前の合理的な根拠資料がある
- 試験・調査の対象、条件、期間が広告で示す効果と一致している
- 「必ず」「絶対」「唯一」「最高」などの強い表現を、根拠の範囲を超えて使用していない
- 体験談や成功事例を、一般的な効果・典型的結果であるかのように見せていない
- No.1・高評価%表示について、比較対象・調査対象者・方法・表示との対応を確認した
- 調査会社の証明書だけでなく、調査設計の中身を広告主側で確認している
- 媒体社・広告審査機関等の確認を受けたことだけで、表示の根拠資料の確認を省略していない
- 比較対照価格に実際の販売実績又は適切な根拠がある
- 比較対照価格の名称と実態が一致し、社内管理価格、誤入力、別商品の価格等を流用していない
- 「無料」「半額」「期間限定」等の適用条件を、強調表示と一体で認識できるようにしている
- 打消し表示の位置、文字サイズ、色、内容、スマホ表示を確認した
- 広告であることを隠すインフルエンサー・口コミ投稿がない
- 広告代理店・制作会社・アフィリエイターへの事前承認・修正ルールがある
- 商品内容・価格・キャンペーン条件が変わったときに、古い広告を停止するフローがある
- 広告、LP、申込画面、利用規約、CS回答の条件が一致している
- 根拠資料と公開時の広告画面を後から確認できる形で保存している
- 景品表示法以外に、薬機法、健康増進法、特商法、金融・不動産等の業法が重ならないか確認した
14.弊所の実務上の視点:広告審査は「根拠→表示→運用」の順で見る
広告審査では、①広告全体から実際に何を表示しているのかを特定し、②一般消費者がどのような印象・認識を受けるのかを確認し、③その内容を裏付ける資料・価格実態・取引条件があるかを照合する、という順序が有効です。よく起きる問題は、コピーが完成した後に「この表現を何とか使えないか」と根拠を探し始めることです。この順序では、広告表現に根拠資料を合わせようとして、試験結果や調査結果を過度に一般化するリスクが高まります。実務上は、まず事実・データ・契約条件を確認し、その根拠から許容できる表示の幅を決める方が安全です。
また、法務担当者だけが適法な文言を知っていても、キャンペーン途中でマーケティング担当者が価格を変更したり、広告代理店が自動最適化で見出しを差し替えたり、インフルエンサーが独自に表現を強めたりすれば、実際の表示は変わります。そのため、広告審査では「公開前に誰が承認するか」だけでなく、「公開後に誰が変更を把握し、違反のおそれがあればすぐ止められるか」まで決めることが重要です。
不当表示の疑いが生じた場合には、広告を漫然と継続せず、対象表示、掲載期間、対象商品・役務、売上、根拠資料、承認経緯を速やかに整理し、修正・停止、証拠保全、消費者対応、行政対応を検討します。2024年改正後は確約手続という選択肢もありますが、事案ごとの要件とタイミングを踏まえた判断が必要です。
15.弁護士への相談を検討すべき場面
- 効果・性能を強く訴求する新商品・サービスのLPを公開するとき
- No.1、専門家推奨、高評価%、比較広告を大きく打ち出すとき
- 二重価格、大幅値引き、初回無料、期間限定キャンペーンを行うとき
- インフルエンサー、アフィリエイター、口コミ施策を組み込むとき
- 広告代理店や制作会社との責任分担・承認フローを整備するとき
- 消費者庁・都道府県から照会や資料提出要求を受けたとき
- 過去広告に問題がある可能性が判明し、停止・自主是正・消費者対応を検討するとき
景品表示法は、広告コピーの言い換えだけで解決するとは限りません。根拠資料、価格の実態、LPの見せ方、外注先の運用、社内管理まで含めて確認することで、広告施策を止めずにリスクを下げる方法を検討しやすくなります。
主要一次資料
- 不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)
- 消費者庁「表示規制の概要」
- 消費者庁「表示に関するQ&A」
- 消費者庁「不実証広告規制」及び「不当景品類及び不当表示防止法第7条第2項の運用指針」
- 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」
- 消費者庁「比較広告に関する景品表示法上の考え方」
- 消費者庁「打消し表示に関する実態調査報告書」等
- 消費者庁「No.1表示に関する実態調査報告書」(2024年9月26日)
- 消費者庁「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」及び運用基準
- 消費者庁「ステルスマーケティングに関するQ&A」
- 消費者庁「令和5年改正景品表示法」関係資料(2024年10月1日施行)
- 消費者庁「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」
参考裁判例
- 東京高裁令和8年6月10日判決(令和7年(行コ)第263号。原審・東京地裁令和7年7月25日判決)
- 東京高裁令和6年7月31日判決(令和6年(行コ)第44号。原審・東京地裁令和6年1月30日判決)
- 東京高裁令和2年12月3日判決(令和元年(行コ)第330号。原審・東京地裁令和元年11月15日判決)
広告・LPの景品表示法チェックに関するご相談
No.1表示、効果・性能表示、二重価格、割引・無料表示、打消し表示、ステルスマーケティング、インフルエンサー施策などは、広告文言だけでなく根拠資料、LP全体の見せ方、価格実態、外注先との運用まで含めた確認が重要です。広告・LPの公開前チェックや広告審査フローの整備が必要な場合はご相談ください。