フランチャイズ

2026年10月28日

FC加盟店で事故が発生した場合、本部も責任を負うか

損害賠償・安全管理・初動対応――事故類型と本部の関与から判断する

フランチャイズ(FC)加盟店で食中毒、顧客の転倒、商品事故、従業員の労働災害などが発生しても、同じブランドを掲げているという理由だけで、本部が当然にすべての損害賠償責任を負うわけではありません。加盟店は通常、本部とは別の独立した事業者であり、まず事故を生じさせた店舗の運営主体、商品・設備の製造者や管理者、事故原因を確認します。

ただし、加盟店とのFC契約に「事故は加盟店の責任」と書けば、本部が被害者に対する責任から常に免れるわけでもありません。本部自身の危険な指示や安全対策の不備、欠陥製品への関与、実際の指揮監督関係などがあれば、本部固有の責任が問題となります。本稿では「法的な賠償責任」「被害拡大を止める対応」「加盟店との内部費用負担」を分け、本部が事故発生時に何を調査・記録・判断すべきかを整理します。

1.本部と加盟店は独立しているが、「本部に一切責任がない」とは限らない

公正取引委員会の「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」は、外観上は本店と支店に見える場合でも、加盟者は本部から法律上独立した事業者であると説明しています。一般には、加盟店自身が従業員を雇用し、顧客と取引し、店舗を管理するため、日常の営業行為に起因する事故について、加盟店がまず責任主体となる場合が多いといえます。

もっとも、責任は「FCの看板の有無」ではなく、各主体の具体的な行為・義務・権限・原因との関係によって決まります。本部がマニュアルを作成し、SVが店舗を訪問しているという事実だけでは、本部があらゆる事故の使用者や保証人になるわけではありません。他方、本部自身が危険を生む商品仕様を定め、重大な警告を把握しながら必要な対応を怠ったなどの事情があれば、単に「独立事業者」を強調するだけでは足りません。

調査の出発点は、①顧客と契約した事業者、②現場の安全措置を決め実施する事業者、③製品を製造・表示・供給した者、④本部の指示・監査・是正の実態、の四つを別々に確定することです。

2.本部の損害賠償責任を検討する法律上のルート

事故について本部が請求を受けた場合、民法上の不法行為・使用者責任、施設の占有者・所有者の責任、製造物責任法、契約上の責任などを区別します。同じ事実について複数の根拠が主張されることはあっても、どれか一つに該当すれば当然に他の要件も満たすわけではありません。

法的根拠 本部についての主な判断要素 混同しやすい点
民法709条(本部自身の不法行為) 本部固有の行為・不作為、注意義務、危険の予見・回避可能性、事故との因果関係 安全マニュアルがあるだけで一律に責任が生じるわけではない
民法715条(使用者等の責任) 被害を生じさせた者との実質的な使用関係、事業の執行との関連等 加盟店従業員を本部の被用者と当然には扱わない
民法717条(工作物責任) 事故原因となった建物・設備等の設置保存の瑕疵、占有・所有関係 本部ブランドの看板があるだけで占有者・所有者とはいえない
民法719条(共同不法行為) 加盟店と本部それぞれの行為・違法性・損害との関連 チェーン全体で運営しているだけでは共同不法行為にならない
製造物責任法2・3条 製造・加工・輸入、製造業者との誤認を生む表示等、引渡製品の欠陥 単なる販売やブランド使用だけで全ての役務事故に適用されない
民法415条(契約責任) 顧客等との契約主体、本部が直接負う債務の内容と不履行 加盟店と顧客の契約から本部の契約責任を自動導出しない

2-1.本部自身の指示・不作為と、加盟店従業員の行為を分ける

本部が危険な作業方法や衛生基準を具体的に指示した場合、あるいは危険情報の受領・対応権限等を踏まえて本部自身の注意義務違反が問題となる場合、民法709条に基づく責任が検討対象となり得ます。ただし、どの注意義務が本部に存在したか、義務違反と損害との因果関係があるかを個別に確認する必要があります。

民法715条の使用者責任も、「SVが指導した」「全国で接客基準を統一した」というだけで当然に成立するものではありません。行為者との実質的な使用関係や事業執行性を検討します。加盟店従業員の採用・給与・シフト・日々の指揮命令を誰が担うか、事故時に誰の指示でどの作業をしていたかは、法的評価を左右する具体的事情となります。

2-2.PB商品・共通設備では、製造物責任・工作物責任を別に見る

本部がプライベートブランド(PB)商品を企画・供給し、製造業者と誤認させる表示をするなど製造物責任法上の「製造業者等」に当たる場合、製造物の欠陥による人身・財産被害について責任が問題となり得ます。単に本部が販売を仲介した、店舗に商品を供給したというだけで、すべての製品についてPL責任が成立するわけではありません。製品の製造・輸入、表示内容、設計・品質管理への関与を区別します。

顧客が階段・床・大型設備等の瑕疵により負傷した場合、民法717条の土地の工作物等の責任も検討します。店舗の賃借人や設備の占有者・所有者が誰であるか、原因が設置保存の瑕疵か、負傷の経緯を調べます。本部がブランド標準の内装仕様を指定した事実と、本部が当該工作物の占有者・所有者であることは同じではありません。

3.事故類型ごとに「本部関与・証拠・初動」を一つの表で確認する

同じ「加盟店事故」でも、食品・設備・対人サービス・労働災害では適用法令や行政への連絡先が異なります。次の表は実務上の一次整理用であり、本部の責任の成立・不成立を機械的に決めるものではありません。

事故類型 本部関与の確認 優先して残す資料・初動
食中毒・アレルギー 原材料・レシピ・表示、衛生基準、過去の警告、共通食材の供給 症状・喫食時刻、製造ロット、温度・HACCP記録、残品等の保全、保健所への連絡
転倒・火傷・設備事故 本部指定の設備・内装仕様、事故予兆の報告、修繕・使用停止権限 現場写真・映像、設備台帳、点検・修繕・指示履歴、危険区域の立入防止
PB商品・共通部材の欠陥 製造・加工・輸入、表示製造業者への該当性、供給・回収の権限 製品現物、型式・ロット、取引・表示資料、同一ロットの流通先、使用・販売停止
施術・運動等のサービス事故 本部指定手順・禁忌・研修、実施者資格、事故情報の共有 施術・サービス記録、同意書、指導資料、設備点検、顧客対応履歴
加盟店従業員の労災 雇用主、実際の作業指示者、安全教育、設備・作業環境の管理 作業指示・勤怠・事故記録、安全措置、労基署への報告主体と必要な届出
配達・移動中の事故 配送主体、配車・ルートの指示者、車両・運行管理、保険 運行・配車履歴、車両・契約・雇用資料、警察連絡・二次被害防止

事故が飲食チェーンの複数店舗に広がる可能性がある場合は、一店舗だけの原因究明に限定せず、共通食材・ロット・レシピ・販促企画・設備仕様の横断確認が必要です。他店舗への注意喚起や販売停止を検討する際には、具体的な危険の根拠、対象店舗・商品・期間、実施権限を記録します。

4.マニュアル・SV監査・是正要求は、義務と履行の双方を確認する

本部が衛生・設備・接客の統一基準を設けることは、チェーンの品質維持に重要です。しかし、基準を作成していたという事実だけで本部に事故防止の全結果責任が生じるわけではなく、逆に「加盟店が自主的に守る規程」であれば本部の関与が全く問題にならないとも限りません。安全管理に関する契約条項、研修、SV点検、加盟店からの報告、危険把握後の対応権限を事故原因と照合します。

4-1.重大な安全上の兆候を知った後の対応

過去に同種の事故や苦情が発生し、本部がその情報を受けていたかは重要な検討事項です。例えば、複数店で同じ設備の故障が報告されていた、レシピ上のアレルゲン情報に誤りが指摘されていた、監査で危険を把握していたのに対応方針が定まっていなかった等の場合、危険の予見・回避可能性や具体的注意義務を検討する必要があります。

本部は「SVが指導済み」とだけ記載せず、何を発見し、誰に、どの方法で、どの期限までの改善を要求し、どのように再確認したかを残します。加盟店が是正を拒否した場合も、拒否の事実と追加連絡、契約に基づく監査・停止・解除の選択肢を記録します。法的根拠のない一方的な店舗立入りや設備搬出などは避ける必要があります。

4-2.安全の統一管理と加盟店の経営権限を混同しない

本部が安全基準を示すことと、加盟店従業員の日々の雇用管理・具体的作業指示を直接行うことは別です。実態に合わない「加盟店だけが責任を負う」条項に依存せず、本部の役割を製品・マニュアル・監査・危険情報の集約・緊急連絡に、加盟店の役割を日常の衛生管理・設備保守・従業員教育・現場対応等に分けると、予防と責任評価の双方で有用です。ただし、その分担だけで被害者に対する法定責任を一律に排除できるわけではありません。

4-3.裁判例で確認する本部の安全指導義務の範囲

本部と加盟店の責任分界については、実際の事故原因に本部がどの程度関与していたかが重要です。以下の裁判例は、いずれも本部と加盟店の独立性を前提としながら、本部固有の義務の有無を具体的に検討しています。

【安全指導義務違反を認めた例】大阪高裁平成13年7月31日判決(平成12年(ネ)第4041号、判例時報1764号64頁)は、コンビニエンスストアで、来店客が水拭き後の濡れた床で転倒した事件です。裁判所は、床の清掃・乾燥を直接行う義務は店舗経営主体である加盟店が負うとし、本部自身にその直接管理義務はないと判断しました。他方、床材が全店共通の特注仕様で、モップや水切りも本部から統一支給され、本部が継続的に経営指導・技術援助を行っていた事情を重視し、転倒を防ぐための適切な床清掃方法を加盟店等に指導すべき義務を認め、その違反について本部の不法行為責任を肯定しました。

同判決では、被害者の靴底の摩耗や両手がふさがっていた事情を踏まえて5割の過失相殺を行い、弁護士費用10万円を含む115万4470円の賠償を命じています。判決は、使用者責任についても肯定的に付言していますが、主たる理由付けである本部固有の安全指導義務違反と、民法715条の使用者責任とを混同しないことが重要です。

【本部の責任を否定した例】福島地裁郡山支部令和8年4月21日判決(令和3年(ワ)第316号ほか)は、FC飲食店のガス爆発事故をめぐり、店舗運営会社や工事・ガス関係事業者の責任を認める一方、FC本部に対する郡山市の請求を棄却しました。本部が商号使用を許諾して経営指導・技術支援を行い、一般的な防火管理の規程やガス漏れの報告に関する定めがあったことは認定されています。しかし、事故原因となったガス管の設置・管理について、本部が具体的に指示・監督した事実や、点検・報告・改修を求めるべき義務を生じさせる事情が認められず、民法709条・715条に基づく責任を否定しました。

この福島地裁判決については一部の被告による控訴が報じられており、判決全体を確定判決として扱いません。また、本部に対する請求部分の確定状況を示す資料は確認できていません。あくまで公表された第一審の具体的判断として参照する必要があります。

【本部の実務への示唆】両判決から、①事故原因となった資材・設備・作業方法を誰が選定したか、②本部が具体的な安全指導・監督を行う権限や義務を有したか、③危険を予見・把握する手掛かりがあったか、④実際にどのような是正指示・報告を行ったかを、事故類型ごとに記録することが重要です。全店共通の安全基準を設けたことだけで当然に責任が生じるわけではなく、逆に加盟店が独立法人であることだけで本部固有の注意義務が消えるわけでもありません。

5.事故直後の対応は「人命・被害拡大防止」を最優先し、原因と責任の断定を急がない

重大な事故では、まず救急要請、負傷者の安全確保、二次災害防止を行います。原材料や設備に原因が疑われるときは、危険な作業・提供・販売を必要な範囲で止め、対象製品・ロット・区域を特定します。証拠保全を理由に危険物を放置したり、危険を止めるために必要な措置を遅らせたりしてはいけません。一方、関連する製品・温度記録・映像などは、安全を確保したうえで適切に保全します。

段階 店舗・本部で優先すること 確認・記録のポイント
発見直後 救護・119等の緊急通報、二次被害防止、必要な提供・使用停止 発見者、時刻、場所、被害・危険の範囲、実施した措置
当日の事実固定 責任者・保険窓口・行政連絡先を確認。証拠の散逸を防ぐ 写真・映像・現物・ロット・点検記録、監査・指示・クレーム履歴
原因調査中 加盟店・本部・製造者等の役割と適用法令を確認 聞き取り記録、推定事実と確定事実の区別、追加被害の有無
対外連絡・再開前 行政・保険・顧客への連絡、必要な是正措置、再開条件を整理 連絡日時・内容、措置の責任者、再点検、再開判断の根拠

初期報告は「事実(確認済)」「未確認事項」「直ちに行う措置」を分けて作成します。事故直後の憶測による原因の断定、担当者の独断による損害賠償額の約束、画像や記録の削除は、後の調査・被害者対応・保険処理に支障を生じさせ得ます。

6.保健所・労基署・消費者関連機関への対応は、事故・事業者ごとに確認する

6-1.食中毒・食品事故では営業者と本部の役割を先に確認する

飲食店で食中毒が疑われる場合は、営業者や食品等事業者の法的地位、施設の営業許可・届出、食品の製造・販売主体、共通食材の供給元を確認し、所轄保健所と速やかに連絡・協力する体制を取ります。厚生労働省は、原則として食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理を求め、食中毒調査の際には喫食状況、発症者、食品残品等の情報確認を重視しています。本部が共通レシピを定めていたとしても、店舗営業者の法令上の義務が本部に機械的に移るわけではありません。

不適切な食品・表示について自主回収を行う場合には、食品衛生法・食品表示法に基づく自主回収報告制度の対象・除外事由・届出主体を確認します。あらゆる苦情や全ての任意返金が同制度の届出対象となるわけではありません。共通商品の回収では、出荷・仕入先・在庫・販売済み店舗を追跡し、二次被害を防ぐ連絡を優先します。

6-2.従業員事故の報告義務は「実際の事業者・雇用主」を確認する

加盟店の従業員が業務中に負傷した場合、通常は雇用主である加盟店が安全衛生法令上の報告・労災保険の手続を確認します。労働者死傷病報告は2025年1月1日から原則電子申請となっています。ただし、実際の雇用・指揮命令関係や本部自身の関与がある場合には別途検討が必要です。顧客事故の賠償と従業員事故の使用者・安全配慮義務、労災保険手続を一括して処理しないようにします。

6-3.行政・消費者向けの事故情報制度を一括して扱わない

消費者安全法12条に基づく消費者庁への事故情報通知は、一定の行政機関等を通知主体として定める制度です。全てのFC本部に対し、同条による消費者庁への直接通知義務が一律に課されると説明するのは正確ではありません。食品、製品、医療・介護関連、労働災害など各業種・商品に固有の報告義務や行政対応を個別に判定し、連絡主体・宛先・期限・必要書類を確認します。

7.契約上の事故対応・保険・費用分担は、被害者への賠償責任と別に設計する

FC契約に「店舗事故は加盟店の負担とする」と定めても、被害者が本部に対して法令上の要件を満たす請求をすることまで当然に遮断できません。一方、本部が事故時の窓口となって被害者対応を行ったという事実だけで、あらゆる損害を最終的に本部が負担するとは限りません。対外的な責任の成否と、本部・加盟店・メーカー・保険者の内部精算を分けます。

本部が事故対応規程を設計するときは、報告義務、現場の応急措置、証拠保全、資料提供・監査への協力、保険加入条件、賠償交渉の権限、費用精算、再発防止の是正権限を別々の条項にします。契約で本部に緊急の停止指示権を設ける場合も、対象となる危険と措置、事後の検証・復旧手続を明確にします。

検討対象 契約・保険で確認すべき事項 注意点
賠償責任保険 被保険者、対象事故、補償限度、免責、店舗・業務範囲 加盟店の保険に本部も含まれるとは限らない
PL・リコール関連 本部PB商品、製造・表示主体、製品回収費用、特約 対人賠償と回収費・行政対応費を区別する
事故報告・調査 事故の報告対象・経路、報告資料、証拠保全、監査協力 重大事故の隠蔽や事故記録の改変を防ぐ
顧客対応・示談 窓口、情報共有、保険者の事前承認、支払・公表権限 本部が拙速に責任や賠償額を確約しない
求償・費用精算 本部・加盟店・製造者・保険者の負担区分と証憑 第三者の請求権と内部負担の合意を混同しない

事故対応の費用には、被害者の損害賠償だけでなく、商品回収、検査、保管、営業停止中の損失、清掃・修繕、再研修、告知・相談窓口なども含まれます。どの費用が保険で補償され、どの費用を本部・加盟店で負担するかは、保険約款とFC契約、原因・帰責関係を照合します。

8.営業再開・全店公表・ブランド保護を「損害賠償の認否」と切り離して判断する

事故が一店舗に限られるのか、同一商品・設備・業務手順によって他店舗にも危険が及ぶのかを調査します。危険が残る場合の営業停止・一部作業停止・商品回収・顧客告知は、被害の拡大を防ぐ必要性と契約上の権限、行政の指示に基づいて検討します。本部が「ブランドを守る」ことを優先して事故の公表や被害者対応を遅らせることは、二次被害と信頼低下につながりかねません。

一方で、被害者からの申告を受けた直後に、原因が未確定のまま「本部の管理不備で事故が起きた」と断定して公表することも適切とは限りません。対外説明では、確認できた事実、調査中の点、被害拡大防止措置、問い合わせ窓口、次回案内の方針を分け、加盟店・行政・保険者の説明と矛盾を生じさせないようにします。

再開判断では、単なる清掃・商品の入替えだけでなく、原因に応じた設備補修、研修、マニュアル改訂、点検や行政の確認等が必要か検討します。改善措置の実施日時・担当者・確認結果を残し、同種事故が他店舗で繰り返されない仕組みへ展開します。

9.弊所の実務上の視点――事故台帳は「被害」「原因」「本部関与」「対応」を分ける

FC本部の事故対応で重要なのは、店舗の事故報告書をそのまま本部の責任認定書にしないことです。事故台帳には、①被害者・現場・救護状況、②事故原因と未確定事項、③本部の安全基準・個別指示・把握済みの危険、④行政・保険・顧客への連絡、⑤是正措置と完了確認をそれぞれ別の欄で記録します。関係者の個人情報や医療情報は、取得の必要性・権限・安全管理を確認して保管します。

本部が同じブランドの全店舗を管理するうえで、事実調査を加盟店任せにしすぎると共通危険の発見が遅れます。他方、加盟店の雇用・設備管理まで本部が全面的に引き受けているかのような書面や運用も、実態と責任の不一致を招きます。「本部が設計・供給したもの」「加盟店が実施・管理するもの」「双方で把握・是正する危険」を明確にし、事故後の監査・研修・契約条項の改善へつなげるべきです。

10.よくある質問

Q.店舗の看板が本部ブランドなら、被害者は必ず本部に請求できますか。

被害者が本部に請求をすること自体は考えられますが、賠償責任の成立には本部についての法的根拠と要件が必要です。同一ブランドという外観だけでは当然に本部の不法行為責任・使用者責任が成立するわけではありません。取引主体や本部の具体的関与を調べます。

Q.FC契約に「事故は加盟店の全責任」と書いておけば十分ですか。

十分とは限りません。本部と加盟店の内部負担を定めることには意味がありますが、本部自身の不法行為・製造物責任等が成立する場合、被害者に対する請求をFC契約だけで当然に排除できるわけではありません。保険・報告・調査協力の仕組みも必要です。

Q.本部が保健所や顧客への窓口を担当すると、法的な責任まで認めたことになりますか。

窓口担当という事実だけで直ちに全ての賠償責任を認めたことになるわけではありません。もっとも、情報発信・示談・費用負担について何を約束したかは確認され得ます。被害者の安全を優先しつつ、未確定の原因と責任を分けた説明にしてください。

11.まとめ――本部の法的責任と、事故を止める本部の実務を分ける

FC加盟店の事故において、本部は加盟店の独立性を理由に一切の調査・対応を拒むべきでも、ブランドが同じだからと全ての賠償責任を一括して引き受けるべきでもありません。事故類型、契約主体、本部の具体的指示・監査・商品供給・設備管理への関与、損害との因果関係を確認し、適用法令に応じて責任の有無を判断します。同時に、救護・被害拡大防止・証拠保全・行政と保険への連絡・再発防止を進めることが、本部の実務上の基本です。

主要一次資料

・e-Gov法令検索「民法」(第415条・709条・715条・717条・719条)、「製造物責任法」(第2条・3条)。

・公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」/消費者庁「製造物責任法の概要Q&A」「事故情報の集約等」。

・厚生労働省「HACCP(ハサップ)」「自主回収報告制度(リコール)に関する情報」「食中毒処理要領・食中毒調査マニュアル」。

・厚生労働省「労働者死傷病報告の電子申請義務化」(2025年1月1日施行)。

参考裁判例

・大阪高等裁判所平成13年7月31日判決(平成12年(ネ)第4041号、判例時報1764号64頁)。

・福島地方裁判所郡山支部令和8年4月21日判決(令和3年(ワ)第316号ほか、裁判所公表判決全文:https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-96032.pdf)。

解説・監修:柳澤法律事務所(弁護士 柳澤俊貴)/最終確認日:2026年10月28日

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